eビターラとエクスフォースの意外な共通点!! パワートレインの巨人アイシンの本気がすごかった!!

/ コラム

 クルマ好きなら「アイシン」の名前を知らない人はいないだろう。カーナビや先進運転支援システムも手がけるが、なんといってもパワートレインの巨人としての存在感は圧巻。そんなアイシンが技術説明会を開いたのだが、そこで飛び出した話がお宝だったのよ!

文:ベストカーWeb編集部/写真:アイシン、ベストカーWeb編集部

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日本初の2速半自動AT「トヨグライド」。この量産をアイシンが手がけた

 アイシンの起こりは1949年。当時の同社は「愛知工業」と名乗った。

 いまでこそ当たり前となったAT(オートマチック・トランスミッション)だが、日本におけるATの歴史は、1959年にトヨタが発表した「トヨグライド」に始まる。このトヨグライドの量産を手がけ、日本におけるAT製造のパイオニアとなったことがアイシン躍進の原点だ。

 トヨグライドはトルクコンバーターとプラネタリーギアボックスを組み合わせた半自動の2速ATで、当時のクラウンやその商用仕様であるマスターエースに搭載された。

 とはいえその使われ方は現代とはちと異なる。初期のトヨグライドは通常は2速で走り、坂道や荷物満載時にレバー操作で1速へ落とす仕組みだった。「半自動2速」といわれる所以である(※後に完全自動化、3速化など進化を遂げた)。

 ちなみにこのトヨグライドの誕生だが、1950年代の半ば、後にトヨタの社長となる豊田章一郎氏と、これまた後にアイシンの社長となる豊田稔氏がシボレーに乗り、当時アメリカで生まれたばかりだったATの技術に未来性を感じたことが開発のきっかけになったという。

VWの依頼に応え苦難の末に開発した世界初のFF用6速AT

 アイシンというとトヨタ系というイメージがあるが、いまやその製品は世界中の自動車メーカーが採用している。その発端は1970年代に遡るとされ、クラウン、コロナ用に手がけたFR用3速AT(通称03-55)の出来栄えにほれ込んだボルボが、244に採用したことが最初とされる。

 その後ATは、燃費や静粛性の面から多段化が進む。アイシンは1994年、2代目セルシオでFR用5速ATを実現していたが、その性能に感心したフォルクスワーゲンから「無茶な」依頼が届いた。「サイズはそのままに、FR用とFF用の6速ATがほぶりしい」。

 いうまでもなく、ギア数が増えれば部品点数も増えて容量はかさむ。いっぽうでトランスミッションの歯車は強烈なトルクに耐えねばならないから、薄くするには高度な技術がいる。アイシンはまさに血のにじむような努力で、この要求に応えたそうだ。

 その結果生まれたのが、FR用6速AT「TR-60SN」とFF用6速AT「TF-60SN」。前者はトゥアレグやポルシェ カイエン、アウディQ7に、後者はニュービートルやアウディTTに搭載されて、クルマに大いなる先進性を与えたことはいうまでもない。

 とりわけFF用はエンジンと隣り合わせでボンネット内に置かれるという過酷な要件を満たさねばならず、実現の裏にはすさまじい技術力が求められたはず。この試練を乗り越えて、アイシンのトランスミッションは7速、8速へと多段化していく。

eビターラ用のeアクスル。ブルーイーネクサスとスズキが共同開発した

 近年は電動化が進み、トランスミッションも在り様が変わっている。EVにはトランスミッションは不要といわれるが、モーターを減速させるリダクションギアは必要だし、車軸とモーターを一体化させるうえでも(eアクスル化)、パワートレインの存在感は不滅だ。

 そんな最前線のアイシン製品も垣間見ることができた。ひとつはスズキ初のBEV「eビターラ」用の小型eアクスル。同業他社比で40%小型化したというそのユニットはみるからに小さく、eビターラの精悍なフロントセクションの造形にも一役買っていると思った。

 ちなみにこのユニットはアイシンとデンソーの合弁会社「BluE Nexus(ブルーイーネクサス)」とスズキが共同開発したもの。アイシンのパワートレイン技術とデンソーのエレクトロニクス技術がそろって活用できる点は、実に心強い組み合わせだ。

次ページは : エクスフォースのハイブリッドにもアイシンの力が

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