トランプさん、靖国に行こう JAPAN Forward 日本を発信
Sanae Takaichi: What the Foreign Media Gets Wrong About Her
(自民党初の女性総裁、高市早苗:外国メディアが誤解するその実像)
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自民党史上初の女性総裁が誕生した。石破茂首相による突如の退陣表明を受け、4日に行われた自民党総裁選挙で、決選投票の末に小泉進次郎氏を下し、高市早苗氏が勝利した。奇跡のような瞬間だった。
だが、少数与党に転落した同党の党勢を立て直し、日本をもり立てて前進させていくのは並大抵なことではない。勝利の瞬間、大役を担う高市氏に笑顔はなかった。新総裁就任の演説でも、「多くの方の不安を希望に変える党にしたい」と述べ、そのために議員全員に日本のために「馬車馬のように働いてもらう」と気合を入れていた。
世界が激動する最中に日本の首相が交代し、しかも女性がそのかじ取り役となる可能性が高い。何が変わるのか、高市氏とはどんな人物なのか、世界も注目している。英語と日本語のバイリンガル・ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)で先週、高市氏についての記事が多く読まれたことが何よりそれを物語る。
上の英文(日本語訳)は先週末時点で最も読まれた記事の見出しだ。もちろん高市氏についての記事である。JFのダニエル・マニング記者が執筆した。
記事は見出しからもわかるように、欧米のリベラル系メディアが高市氏のことを「右派の強硬論者」「民族主義的過激派」とのレッテルを貼り、同氏を理念だけを重視する右派の過激な政治家として描き、現実的な政治家ではないかのような物語を作り上げていると指摘。だが、「同氏の経歴や政策提案を詳細に検証すると、より複雑で、むしろ現実的なリーダー像が浮かび上がる」と反論した。
そのうえで、欧米で問題となる移民・外国人政策については、外国人による土地取得制限や不法外国人労働者の管理強化でも「極端な政策はなく、自民党で共有される主流的議論だ」とし、高市氏が制定を求めるスパイ防止法は野党からも理解を得ており、「同氏は信念と現実主義、そして実務的手腕を兼ね備えている」と評価した。
財政戦略では、積極的なマクロ経済政策と構造改革を両立させる「サナエノミクス」を提唱している。総裁選直後から、早くも株高が進み、成長志向の財政政策への期待感がマーケットにも現れている。
しかし、欧米メディアや中国、韓国なども、高市氏の靖国神社参拝を問題視する。靖国神社は、国のために尊い命を捧(ささ)げた人々の御霊(みたま)を慰め、国の平和を願う場所である。欧米などではいまだに「戦争神社(War Shrine)」と呼び、日本の軍国主義の象徴だとして本来の意味をねじ曲げて伝えている。これでは、いつまでたっても平行線で和解はできない。
今年は戦後80年。先月、北京で行われた中国抗日・世界反ファシズム戦勝80周年軍事パレードで、中国は最新の無人兵器を多数登場させて欧米や日本を含む周辺国を軍事力で恫喝(どうかつ)した。さらに、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記の3人がそろい、中朝露という核保有3カ国の親密ぶりを演出してみせた。
高市氏が首相に就任して今月末に外交デビューすれば、これら軍国主義国家群と向き合うことになる。何より注目されているのが、日本の同盟国である米国のトランプ大統領が月末に訪日した際、どんなメッセージを発信するかだろう。
トランプ氏が、暗殺された友人、安倍晋三元首相の後継者、高市氏と妻の安倍昭恵さんと一緒に平和の社である靖国を訪ねたら何が起きるのか。かつての敵が双方の戦没者への哀悼の祈りを捧げ、戦争が頻発する世界の平和を日米でともに願う〝時〟が来ているのではないだろうか。JFは、そんな日本の声なき声も伝えていきたい。(JAPAN Forward編集長 内藤泰朗)
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