G7、ウクライナ・中東巡る結束に影 トランプ氏のロシア復帰論で

主要7カ国(G7)首脳は16日、カナダ西部アルバータ州カナナスキスでG7首脳会議(サミット)を開催し、ウクライナおよび中東での紛争を巡る共通のアプローチを模索した。同日撮影(2025年 ロイターStefan Rousseau/Pool via REUTERS)

[カナナスキス(カナダ・アルバータ州) 16日 ロイター] - 主要7カ国(G7)首脳は16日、カナダ西部アルバータ州カナナスキスで G7首脳会議(サミット)を開催し 、ウクライナおよび中東での紛争を巡る共通のアプローチを模索した。こうした中、サミットの正式な開幕を前に、トランプ米大統領がロシアをG7から除外したのは間違いだったとの認識を改めて提示。G7が団結に苦慮する様子が浮き彫りとなった。

トランプ氏はカナダのカーニー首相とともに演説し、2014年のロシアによるクリミア併合後に主要8カ国(G8)からロシアを除外したのは間違いだったと指摘。(ロシアの)プーチン大統領が排除されなければ、ロシアが22年にウクライナに侵攻することはなかったと主張した。

米国が多国間主義から逸脱した行動を見せる中、トランプ大統領がプーチン大統領を公然と支持すると表明したことは、残りのG7首脳らにとってサミット開幕早々の試練となった。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウィーンでの記者会見で、G7首脳会議の際にトランプ米大統領とウクライナの新たな兵器購入について協議する予定だと説明。トランプ氏の発言は、ゼレンスキー大統領が首脳会談でどれほどの成果を上げられるのかについて疑問を投げかける形となった。

一方、イスラエルとイランの紛争が激化する中、今回のサミットは民主主義大国間の結束を回復させるための極めて重要な機会とみられている。ただ、米当局者は、トランプ大統領はイスラエルとイランの紛争の緊張緩和を求める声明案に署名しないだろうとの見方を示す。

しかし、カナダ政府高官は、この問題は2国間会談で取り上げられる予定であり、会談の結果について推測するのは時期尚早だと指摘。欧州高官もこれに同調し、トランプ氏はまだ決断を下していないと語った。

イスラエルとイランを巡ってトランプ氏は15日、両国の早期和平に楽観的な見方を示し、ロシアのプーチン大統領が仲介役を担う可能性に言及している。

<草案文書>

ロイターが入手した情報によると、首脳らは移民、人工知能(AI)、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)などに関する複数の草案文書を作成しているもよう。ただ、文書について説明を受けた関係筋によると、いずれも米国によって承認されていない。トランプ氏は18年にカナダのケベックで行われた首脳会議に最終共同声明の承認を撤回するよう指示した経緯がある。

欧州の外交筋によると、欧州諸国はほとんどの議題で一致している。ただトランプ氏が承認しない場合、声明が発表されるかどうかは不明だとした。

ドイツのメルツ首相は、米国の関税措置を巡り、首脳会談で解決に向けた動きがあることを期待すると表明。スターマー英首相は、英国と米国が先月合意した貿易協定の実施を「非常に早期に」完了させるべきだとの考えを示した。

16日の協議の中心は、経済や貿易協定、中国になるとみられる。

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