<独自>「気持ち悪いキャラ」一転、万博「ミャクミャク風無許可グッズ」ネット販売続々
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」に関し、一般の人が万博の運営主体・日本国際博覧会協会の許可を得ずにオリジナルグッズを制作し、インターネット上で多数販売されていることが31日、分かった。万博協会は二次創作を認めており、制作して個人で楽しむことに問題はないが、販売は禁止している。商品が著作権侵害に該当するかどうかの判断は容易でなく、完全に排除することは現実的に困難となっている。
フリマアプリのメルカリなどでは、商品の名称や説明文に「万博」「ミャクミャク風」など本家を想起させる文言を記した商品がずらりと並ぶ。出品履歴などから一般の人が制作、出品しているとみられ、ミャクミャクの配色である赤や青をモチーフにしたアクセサリーや小物が数百円から数千円で売られている。
「ミャクミャク風」「キティちゃん風」とうたった折り紙の商品全身はミャクミャクで、顔だけサンリオのキャラクター「ハローキティ」のようにみえる折り紙作品は「ミャクミャク風 キティちゃん風 折り紙 ハンドメイド」などの商品名で450円で販売されていた。
奇抜なデザインのため、以前は「気持ち悪い」と敬遠されていたミャクミャクだが、開幕後は人気が高まり、協会とライセンス契約を結ぶ企業が公式グッズを多数製造。一部は品薄もありオークションサイトで高額で転売されている。
ミャクミャクを思わせるデザインでありながら商品名は「(ミャクミャクではないです)ただのブレスレット」としている出品人気の理由について、日本総合研究所関西経済研究センターの藤山光雄所長は「メディアへの露出も多く、機運醸成の活動で目にする機会が増え、違和感が薄れてきたのでは」と分析する。
こうした中、一般の人が勝手にグッズを制作して販売することに問題はないのか。著作権に詳しい成蹊大法学部の塩澤一洋教授は「著作権の侵害を主張できるのは権利者の協会だけであり、権利を行使するかどうかも自由だ」と語る。
協会はミャクミャクの二次創作については、「(協会策定の)ガイドラインの範囲で楽しんでもらうことは歓迎」とする。ガイドラインでは、個人で楽しむため絵や衣装などを作成することを認めている。一方で営利を目的とした販売は認めておらず、万博のイメージを損なうことや、公式キャラだと誤解を招くことは禁止している。
「ミャクミャク風 ヘアゴム・ヘアピン」と題した商品は説明文に「かぎ針編みで編みました」と記されている営利の判断について、塩澤氏は「商品の価格を原材料費が上回っている可能性もあり、営利に当たらないことも考えられる」と言及。商品名が「ミャクミャク風」となっていても、本家のイメージと結び付かない商品もあり、法的な判断は難しいという。
協会は「ガイドラインの違反行為を発見した際は、プラットフォーム側に掲載の削除依頼を行うなど適宜対応している」と説明している。(井上浩平)