マイクロソフト、米欧のデータセンター計画から撤退-TDカウエン

米マイクロソフトは、米国と欧州で計画されていた2ギガワット規模の新しいデータセンタープロジェクトから撤退した。人工知能(AI)を動かすコンピューター類の供給過剰が理由だとして、TDカウエンのアナリストが26日付のリポートで指摘した。

  TDカウエンによると、今回の動きは、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の開発元オープンAIとの、130億ドル(約1兆9600億円)を投じた新規事業の一部を断念するとの決断を反映しているという。マイクロソフトとオープンAIは今年、複数年契約を変更し、マイクロソフトが事業自体を望まない場合は、オープンAIが他社のクラウドコンピューティングサービスを利用できるようにしていた。

  TDカウエンは2月のリポートでも、マイクロソフトが米国でデータセンターのリースを解約したと指摘し、投資家を驚かせた。

  リポートによると、マイクロソフトのここ6カ月の事業縮小には、リース契約のキャンセルや延期も含まれている。アナリストは、アルファベット傘下のグーグルが、マイクロソフトが欧州で放棄したリース契約の一部を獲得し、メタ・プラットフォームズが欧州で開放されたデータ容量の一部を獲得したと記している。

  マイクロソフトは、6月までの本会計年度中に約800億ドルを投じてAIデータセンターを構築するとしているが、それ以降は成長ペースが鈍化するとの見通し示している。同社幹部らは、オープンAIやその他のAIプロジェクトを支援する急激な拡大の後、支出は新規建設から、データセンターへのサーバーやその他の機器の設置へとシフトすると述べている。

  TDカウエンのリポートについて、マイクロソフト、メタ、グーグルの広報担当者はすぐにはコメントしていない。

  今週、アリババグループの蔡崇信(ジョー・ツァイ)会長は、新規プロジェクトがAIサービスへの需要を上回る可能性があるとして、データセンター建設バブルの可能性を警告した。

  TDカウエンのアナリスト、マイケル・エリアス氏らは「現在の需要予測に比べてデータセンターの供給過剰が続いているため、リース契約のキャンセルやキャパシティーポイントの延期が続くと考えられる」としている。

原題:Microsoft Abandons More Data Center Projects, TD Cowen Says(抜粋)

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