中国大手行が上期決算発表、利ざや縮小に苦戦 景気低迷が逆風

中国の主要国有銀行は29日、景気低迷や不安定な世界経済を背景に、年後半にかけて利ざや(純金利マージン)への圧力がさらに強まると警告した。北京の農業銀行店舗、2021年撮影(2025年 ロイター/Tingshu Wang/File Photo)

[北京/上海 29日 ロイター] - 中国の主要国有銀行は29日、景気低迷や不安定な世界経済を背景に、年後半にかけて利ざや(純金利マージン)への圧力がさらに強まると警告した。

中国の銀行部門の純金利マージンは、景気を刺激するための度重なる中央銀行の利下げや、低調な融資需要により、新型コロナウイルス禍以降、圧迫が続いている。

中国大手5行は29日に発表した上半期決算で、いずれも純金利マージンの縮小を報告した。純金利マージンは、銀行の収益性を示す主要な指標だ。

中国銀行の張輝行長は決算説明会で「当行は下半期、他行と同様に共通の圧力と課題に直面するが、われわれは積極的に対応し、事業全体の安定した業績を維持する自信がある」と発言。「中国国内の低金利環境は、全ての人にとって共通の課題だ」とした。

交通銀行の周萬阜副行長は、純金利マージンは今後も圧力を受けるだろうと指摘。ただ、縮小ペースは過去2年間と比べて鈍化するだろうとの見方を示した。

公式データによると、中国の銀行の純金利マージンは6月末時点で1.42%と過去最低を記録し、業界で適正な収益性を維持するために必要とされる1.8%を下回った。

5行は29日の市場の取引終了後、上半期決算を発表した。純利益はまちまちで、農業銀行は2.7%の増益、交通銀行は市場予想を大きく上回る1.61%の増益となった。

残り3行は、純利益が0.85%─1.4%減少した。中国建設銀行は市場予想に反して減益となった。

資産の劣化に対する懸念が浮上しているが、上半期の不良債権額は総じて横ばいだった。

不動産セクターは依然低迷しており銀行にとって大きな課題となっている。

中国銀行幹部は「不動産セクターからの引き揚げ(リスク)は続いている」と指摘。「新たに発生した不良債権を見ると、国内で最も多い業界は依然として不動産だ」と述べた。

アナリストは不動産セクターの底打ち時期は不明としており、農業銀行幹部は「不動産セクターの信用リスク管理に注力する」と語った。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: