A代表デビューの反響、世代別代表への思い、偉大な“お手本”の引退…19歳GKピサノが決意新た「もっともっと成長したい」

 8日のEAFF E-1選手権・香港戦(◯6-1)でGK史上最年少の日本代表デビューを飾った19歳のGKピサノアレックス幸冬堀尾(名古屋)が10日の練習後、報道陣の取材に応じ、デビュー後の反響を明かした。  A代表初出場とあり、試合後には数多くの人から連絡が来ていた様子。ピサノは「小中学校が同じだった友達とか、久しぶりに連絡を取る人もいて嬉しかった」とはにかみつつ、「いろんな人が見てくれていることをあらためて感じたし、そこに対しての責任感で、もっともっと良いプレーをしなきゃいけないと強く思った。そこをしっかり次につなげて、意識してやっていきたい」と決意を新たにしていた。  今季のJ1リーグで急台頭を見せ、日本代表の舞台に上り詰めたピサノ。あたかも順風満帆なキャリアを歩んでいるように思われがちだが、これまでの代表生活は挫折も多く、反骨心を胸に成長を続けてきた。

 2023年秋には06年早生まれの最年長世代としてU-17W杯メンバーに追加招集で選出されたが、4試合ともにGK後藤亘(FC東京)がゴールを守り、出番のないまま大会が終了。負傷者に代わる“4番手”という立場を受け止めるしかなかった。

「すごく出たかったけど、あの時の自分じゃ絶対にあそこまで行けなかったと感じていた。もっともっと成長しないといけないというのは今も感じているけど、一日一日無駄にせず、あそこで勝てるようにというのをずっと意識してきたからこそ、得られたチャンスを活かしてリーグで出られる今につながっていると思う」

 また今年に入っても、2月のAFC U20アジア杯に落選。07年生まれで2学年下にあたるGK荒木琉偉(G大阪)の飛躍を悔しさまじりで見つめていた。

「アジア杯のメンバーに入れなくて、そこにすごく悔しい気持ちもあったし、特に荒木選手は年下というのもあって悔しさがあった」  ただ、いまでは今年9〜10月のU-20W杯につないでくれた感謝もある。 「W杯に向けてしっかり戦ってくれたので、自分がW杯のメンバーに入るためであったり、そして入ってからどうやってプレーするか、どうやってチームを引っ張っていくかというのを考えてやらないといけないと思っていた。オフのところでもしっかり引っ張っていけるようにと思っている」  世代一番乗りでのA代表デビューを経て、次はU-20日本代表としてU-20W杯でのポジション争いに挑んでいくつもりだ。  目指すは世界に挑むことではなく、世界で通用する選手になること。そのためにはこの大会での日々を貴重な糧とし、名古屋に帰ってからもさらなる成長を続けていくことが大切になる。

 奇しくもこの日は、名古屋で18〜24年にプレーしていた元オーストラリア代表GKランゲラックが現役引退を発表した。ピサノにとっては名古屋U-18時代、トップチームの練習参加の際に優しく話しかけられ、それ以降も気にかけてくれていた偉大な先輩。彼の決断も、自身の飛躍への決意を新たにする機会となったようだ。

「去年、名古屋を去った後も自分に連絡をくれたりというのが多くあった。彼のためにも自分がこれからどんどん成長して、世界の舞台で戦う姿を見せられるように頑張らないといけないというのを改めて感じた。自分にとってお手本の選手なので、彼のためにという思いはある」

 名古屋ではランゲラックが去った今も、元日本代表レジェンドの楢崎正剛GKコーチから指導を受け、シュミット・ダニエルとも日々切磋琢磨するなど、若きGKが成長するための理想的な環境がある。

「ナラさんはユースの時から見てくれていて、自分の特徴をいいところも悪いところを全部含めて知ってくれている。それもあって的確なアドバイスをくれる。ミッチもそうだし、ダンくんも今年来て、改めて名古屋のゴールキーパーの層の厚さ、環境の良さを感じるし、すごく刺激をもらっている。成長できる環境だと思うので、これからもっともっと成長したいと思っています」  日本代表デビューは明るい未来へのほんの第一歩。「最近は測っていないけど(身長)197cmはあるかなという感じ(笑)」という特大のポテンシャルを持つ守護神のキャリアは始まったばかりだ。 (取材・文 竹内達也)●E-1選手権2025特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中

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