50歳からでも+20ヤード! 飛距離を伸ばす「遠心力」を使ったスウィングを実際に試してみた

体の柔軟性や筋力が衰え、飛距離が落ちてくる年代のゴルファーが飛ばすために活用したいのが「遠心力」。遠心力を使って振るコツを、シングルハンディの腕前を持つイラストレーターの野村タケオが実際に試してみた!

みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。僕ももういい歳なので、飛距離的には落ちてくる年代です。そもそも体の柔軟性も低いし。週刊ゴルフダイジェスト7/15号に「ここからもうひと伸び!50歳から+20ヤード」という記事がありました。もし記事の通り20ヤード飛ぶようになったらめちゃ嬉しいですが、そんな上手い話があるのでしょうか。記事の内容を試してみることにしました。

週刊ゴルフダイジェスト2025/7/15号で特集されていた、50代からでも飛距離を伸ばせる「遠心力の使い方」を実践!

50歳を超え、シニアツアーに参加する選手の中にはレギュラーツアーのときと同等、いやそれ以上に飛ばしている選手もいるといいます。その理由は若い頃との体の変化に合わせて、スウィングもモデルチェンジしていること。年齢を重ねると関節の柔軟性が落ち、筋力も衰え、若い頃とは同じ動きができなくなります。しかし他の方法を使ってヘッドを走らせることができれば、飛距離を取り戻すだけでなく、さらにプラスして飛ばすことも可能になるということなんですね。

では具体的には何を意識すればいいのでしょうか。まずは小さくなった振り幅を遠心力でカバーすることです。自分でクラブを振るということではなく、振られるという感覚にします。クラブが動いて、体は後からついてくるというスウィングにすれば、深いトップも捻転差も必要がないんです。

(左)クラブに振られることが大事(右)クラブと同じ方向に体が行ってしまってはダメ

遠心力を生かすために大事なのは、その力を妨げないこと。そのためには右かかとを浮かせないベタ足にすることで、上半身が左側に突っ込むのを防ぐことが大事です。そうすることで、インパクトからフォローにかけてヘッドを加速させることができます。また、頭が後方に残ることで頭とクラブが引っ張り合い、遠心力を使うことができます。

(左)右かかとを浮かせないベタあしにするとヘッドを加速させられる。(右)かかとが浮き上体も起きてしまうとヘッドは加速しない

そしてもうひとつ大事なことは遠心力を使ってヘッドを走らせる際に、そのスピードを邪魔しないこと。アマチュアがスピードを減速させてしまう理由が「手に力が入ってしまっている」こと。グリップは弱く握らないとスピードを上げることはできません。しかし脱力って難しいんですよね。そこで右手の人さし指を伸ばしてグリップして「握れない形」を作って、力が入らないようにします。こうすると、トップで人さし指でヘッドの重みを感じることもできるので、その重みを生かしてヘッドを走らせるイメージも出るということです。

右手の人さし指を伸ばしてグリップすると力が入らない。またトップでヘッドの重みも感じられるようになる

この人さし指伸ばしグリップに慣れれば、普通にグリップするわけですが、その時も指を伸ばしていた時と同じような感覚で握るのがコツということです。

手の力を抜くという意味では、始動のときにヘッドを少し引きずるようにするといいそうです。動きだしのときが最も手に力が入りやすいので、すぐにヘッドを上げてしまうと、そこで力が入ってしまいます。ヘッドが右足の前を通過するまでは芝の上を滑らせるように動かすと、力を入れることなくテークバックすることができるようです。

(左)ヘッドが右足前を通過するまでは芝を滑らすように動かす。(右)ヘッドをすぐに上げる動きは手に力が入ってしまう

実際にやってみると……

これらのことを踏まえて、ボールを打ってみます。まずは人さし指を伸ばして振ることに慣れるために素振りから始めます。人さし指を伸ばすと、かなり右手のグリップが不安定な感じがしますが、これは普段いかに右手でギュッと握っているかということなんでしょうね。何度か素振りをしていると、だんだん感覚に慣れてきますが、それと同時にクラブヘッドに振られるという感じが少しわかってきます。これが遠心力を使えているということなんですね。今までの感覚とは結構違います。

次に軽くボールを打ってみます。人さし指伸ばしのままでボールを打つ時には、最初は両足を閉じてトップとフィニッシュでふらつかないくらいの力感で振るのがいいそうです。

人さし指伸ばしでボールを打つときは、まず両足を閉じてやってみる

足を閉じて打った後に、普通にグリップしてボールを打ってみました。人さし指は普通に握っていますが、添えるだけという感じの力感。これで打ってみると確かにヘッドに遠心力がかかりやすいので、ヘッドスピードは上がりました。ただ、緩く握るというのに慣れていないからか、ヘッドの軌道が少し不安定になってしました。これは緩く握ることに慣れてくれば安定してくると思います。あとは頭が左に行かないように気をつけて、しっかりと頭とクラブヘッドが引っ張り合う形を作ってやれれば、さらにヘッドスピードは上がりそう。右足のベタ足も効果ありそうです。

シニアになり柔軟性や筋力が落ちても飛距離をアップさせる打ち方を試してみましたが、確かにヘッドスピードは上がり飛ぶ可能性はあると思いました。安定した球を打つには少しスウィングに慣れる必要はありますが、これは取り組んでみる価値があると思います。最近飛距離が落ちてきたな~と感じている人は、ぜひ一度試してみてください。

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  3. 持ち球をフェードに戻して復活優勝! 永峰咲希のドライバースウィングをプロが解説【勝者のスウィング】

「資生堂・JALレディスオープン」で5年ぶり3勝目を飾った永峰咲希。4日間のパーオン率が全体の3位と安定したスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

気温32.5度の暑さと高い湿度の中で、速いグリーンとラフの難セッティングにスコアは伸びない展開になりました。

前半に最終組から3組前の金澤志奈選手が2打目をUTでピンを差しバーディパットもねじ込みスコアを伸ばして首位に並びます。最終組は前半苦しんだ木戸愛選手が後半にスコアを伸ばして首位に並ぶと、距離の長くなった16番パー5で永峰咲希選手が長いバーディパットを決めて一歩抜け出します。

18番でプレーオフ進出を決めるバーディパットをねじ込んだ木戸愛

木戸選手は最終18番でプレーオフに残る値千金のバーディを奪いひざをついてガッツポーズ。永峰選手との3ホールに及ぶプレーオフは永峰選手に軍配が上がり5年ぶりの3勝目を飾りました。

タッチと方向性が抜群だったスコッティキャメロン「ファントム5S」

永峰選手は4日間でボギーは2日目に3個と3日間をノーポギーの安定したゴルフは、目澤秀憲コーチと取り組んで来たフェードボールと距離感も方向性も抜群だったスコッティキャメロンのセンターシャフトが噛み合った結果でした。

フォワードプレスから始動

それではスウィングを見てみましょう。画像は3月の「Vポイント×SMBCレディス」のものですが、ターゲット方向に手元を動かしてから始動するフォワードプレスが特徴的です。

手元をターゲット方向に動かしてから始動するフォワードプレス

フォワードプレスの効果は、手首の余計な動きを防ぐだけでなく左から右へと重心移動をスムーズにしスウィングのテンポを一定にする効果もあります。

テークバックからトップまではスタンス幅の中で右へと重心が移動し切り返しで左へ。ダウンスウィングでは上体を開かずに手元を体の正面に保つことで腕の振り遅れを防いでいます。

スタンス幅の中で右から左へと重心移動し切り返す

後方からの画像ではしっかりと左へ振り抜くフェードヒッターのスウィングプレーンが確認できます。スピン量が少なすぎてドロップしていたドローからプロテスト合格当時のフェードに戻したことでスピン量も安定しラフまで転がることも減り、予選通過の回数も増えたと優勝会見で話しました。

フェードヒッターらしく左へ振り抜くスウィングプレーン

目澤コーチと取り組んだフェードボールやパッティング、マネジメントなどゴルフのレベルを一歩ずつ上げて来たことでつかんだ5年ぶりの勝利。複数回優勝を目指して残りのシーズンも上位で戦うことでしょう。

写真/姉崎正、岡沢裕行

あわせて読んでほしい永峰咲希と木戸愛の「資生堂・JALレディス」を振り返る

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