Switch 2で話題 「microSD Express」の価格が違う理由
任天堂の次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」が、microSDカードの新規格「microSD Express」を採用すると発表したことで、関心が高まっています。
国内のSDカードは販売チャネルによって価格が異なることがたびたび話題になってきましたが、今回はどうでしょうか。
任天堂ライセンス版が安値で登場
国内におけるSDカードの価格差について以前に取り上げた際には、国内向けの正規品と並行輸入品に大きな価格差があることが明らかになりました。
Switch 2が対応する新しいmicroSD規格「microSD Express」についても、似たような状況にあります。アマゾンなどでは256GBモデルが1万円台で出回っている一方、サンディスクの直販価格は2万3980円となっています。
サンディスクの直販ストアでは256GBモデルの価格が2万3980円となっている(サンディスクのWebサイトより、筆者作成)サンディスク製品を展開するウエスタンデジタルの広報担当者に日本国内での流通状況について確認したところ、現時点で日本国内向けの製品は以下の2つで、流通チャネルはサンディスクの直販ストアのみとのことでした。
■日本国内向け製品
・SanDisk microSD Expressカード - 128GB(SDSQXFN-128G-JN4NP)
・SanDisk microSD Expressカード - 256GB(SDSQXFN-256G-JN4NP)
■(参考)海外からの並行輸入品とみられる
・SanDisk microSD Express Card - 128GB(SDSQXFN-128G-GN4NN)
・SanDisk microSD Express Card - 256GB(SDSQXFN-256G-GN4NN)
なお、アマゾンには正規の販売代理店による商品(出荷元と販売元がAmazon.co.jpとなっているもの)と、外部の販売事業者による商品が混在しています。現時点でアマゾンで売られているmicroSD Expressカードは、すべて後者による並行輸入品と考えてよさそうです。
正規品には国内の製品保証がついているという特徴はあるものの、価格設定には家電量販店におけるポイント利用などの商習慣も影響しているとみられています。
こうした販売チャネルによる価格の違いが消費者を混乱させてきた面もあるように思いますが、Switch 2では大きな変化が起きています。それが「任天堂ライセンス商品」の存在です。
任天堂の直販ストアでは、microSD Expressカードとしてサムスン製とサンディスク製の2つの製品が販売されています。どちらもカードの外観やパッケージが任天堂のデザインになっていることが見て取れます。
任天堂ライセンス商品のmicroSD Expressカード(任天堂のWebサイトより、筆者作成)現時点ではSwitch 2本体の抽選に当たった人を対象に、1人1点限りという条件付きの販売ではあるものの、256GBモデルの価格は「6980円」で、市場価格よりも安いとして話題になっています。
サンディスクの製品と、任天堂ライセンスの商品に外観以外の違いはあるのでしょうか。サンディスクの広報に確認したところ、「ライセンス商品はNintendo Switch 2向けに最適化しており、任天堂による動作確認がされている」との回答でした。
中身が完全に同じかどうかは気になるところですが、価格の手頃さを考えても、Switch 2で利用する目的なら任天堂ライセンス製品を選んでおけば間違いないといえそうです。
なお、Switch 2の本体には256GBのストレージが内蔵されています。実際に必要となる容量は、たとえば本体と同時発売の「マリオカート ワールド」のダウンロード版では23.4GBとなっています。
Switch 2で遊ぶのにmicroSD Expressカードは必須というわけではなく、本体内蔵のストレージに不足を感じたときに購入を検討することになりそうです。
「関税」の影響は気になる
これまでmicroSD Expressは、規格としては存在していても対応機器があまりない状態が続いていましたが、Switch 2の採用を受けて世界的に需要が高まることが予想されます。
供給量も限られていたとみられ、Switch 2の発表直後は品薄になる場面もありましたが、今後は改善が期待できます。Switch 2の仕様では最大2TBの容量まで対応しており、Lexarは「PLAY PRO」ブランドで最大1TBのモデルを展開するようです。
ただ、新たに不安要素として出てきたのがトランプ政権による「関税」の影響です。米国のサンディスク直販ストアではmicroSD Express製品が値上げされ、256GBモデルの価格が134.99ドルになっています。
米国では59.99ドルから134.99ドルに値上げされた。関税の影響かどうかは不明(サンディスクのWebサイトより、筆者作成)この価格は4月上旬までは59.99ドルだったとみられ、約125%の値上げとなります。この数字は米国が中国に課している125%の関税とほぼ一致しています(米国時間で4月10日には合計145%と発表されています)。
この関税は米国に製品を輸入する際に課せられるもので、日本への直接的な影響はないと思われますが、混乱に巻き込まれることがないよう祈りたいところです。