イスラエル軍、幼い子ども2人をドローンで殺害 停戦後も増え続けるガザの死者
亡くなったファディ君(8)とジュマー君(10)/Abu Assi Family via CNN Newsource
ガザ・ハンユニス(CNN) パレスチナ自治区ガザ南部で、たき木を集めに出かけた8歳と10歳の男の子がイスラエル軍のドローン(無人機)に攻撃され、殺害された。イスラエル軍はこの男の子2人を「軍を脅かした容疑者」と形容している。
タメル・アブ・アッシさんは11月29日の朝、幼い2人の息子のために朝食の準備をしていて、たき木がなくなったことに気づいた。アッシさんは身体の麻痺で車椅子生活。そこで息子のファディ君(8)とジュマー君(10)がたき木を集めに出かけた。
2人はそのまま戻らなかった。
アブ・アッシさんが避難所で息子たちの帰りを待ちながらテーブルの準備をしていたところ、近所の住民が駆け込んできて、2人の子どもがイスラエル軍の標的にされ、殺されたと告げた。
「私の子どもたちが?」と父親は問い返した。
身元の確認に向かう間も、打ちのめされていた。
「私は布をめくって2人を抱きしめた。私の小さなジュジュは頭を吹き飛ばされていた。両腕は引きちぎられ、胴体の一部がなくなっていた」。アブ・アッシさんは身を震わせながらそう語った。「ファディは右手と左脚が切断されていた」
家族によると、ファディ君とジュマー君は、一家で身を寄せていたハンユニスの東部バニスヘイラで、イスラエルのドローンに攻撃されて殺害された。
イスラエル軍はこの攻撃を実行したことを確認。殺害した子ども2人を「イエローラインを越えて地上で不審な行動を行い、ガザ地区南部で活動していたイスラエル軍に接近して差し迫った脅威を与えた容疑者」と形容し、「この識別を受け、イスラエル空軍が脅威を取り除くために容疑者を排除した」とした。
見えない一線
バニスヘイラはいわゆる「イエローライン」の東側の、イスラエルに占領された地に位置する。しかし地上に目印はほとんどなく、イエローラインの境界を見分けるのは難しい。10月に停戦が発効した後も、この見えない境界線の周辺で、パレスチナ人がイスラエル軍によって頻繁に殺害されている。イスラエル軍はそうした人たちを「差し迫った脅威を与えるテロリスト」と形容し続けてきた。
停戦発効から7週間たった今も、ガザの死者は増え続けている。パレスチナ保健省によると、2023年10月7日以来の死者は7万人を超えた。
がれきの下からは次々に遺体が収容されており、死者の数は増える一方だ。同省によると、停戦の発効以来、600人以上の遺体が収容されており、今後さらに激増が予想される。市民防衛隊は、1万人の遺体ががれきの下敷きになっていると推定する。
加えて、停戦が始まって以来、イスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人は350人を超えているという。
ジュマー君は殺害される前日、自分の大好きな歌を歌ってほしいと父親にせがんだ。具合があまり良くなかったアブ・アッシさんは、「明日の検診へ一緒に付いておいで。そうしたら大好きな歌を全部歌ってあげよう」と約束した。子どもたちとの最後の思い出を振り返りながら、アブ・アッシさんの頬を涙が伝った。