「65才以上の睡眠は8時間まで」「人とのつながりを大事にすると免疫力も上がる」 健康寿命を延ばす<睡眠&人間関係ルール11>
高齢になると体が衰え、病気や怪我をする可能性が高くなる。認知症や介護を防ぎつつ人生100年時代を健康に生きていくためには、食事や運動だけでなく、充分な睡眠、良好な人間関係など毎日の生活をバランス良く整えることが大切だ。健康的な生活習慣を専門家に解説してもらった。
内村直尚さん/久留米大学学長・日本睡眠学会理事長、 古宮昇さん/心理学博士・公認心理師・臨床心理士
健康寿命とは、病気で寝たきりになることなく命をまっとうできることをいう。
2022、2023年の「厚生労働省」の資料によると日本人女性の平均寿命は現在87.14才。だが、元気に生活できる期間を表す「健康寿命」は75.45才と、約12年もの開きがある。
心身ともに健康な状態が人生を最期まで楽しく過ごすために重要であるが、最新の研究によると生活習慣を見直すことで健康寿命を延ばすことができるという。
では、具体的に何をどう改善すべきなのか?睡眠、人間関係について見ていこう。
久留米大学学長の内村直尚さんは、「眠る前の食事は睡眠の質を下げる」という研究(※1)もあるという。
「食事は入眠3〜4時間前までに終えるのが理想です。ただし、空腹が激しいと覚醒を促す『オレキシン』が分泌されるので、みそ汁やスープなど消化によいものを摂りましょう」(内村さん・以下同)
アルコールは就寝の4時間前までに飲み終わること。
※1出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」
年を重ねると睡眠時間や仮眠の仕方も注意が必要。
「65才以上の人が夜に8時間以上横になると死亡リスクが上がることが研究(※2)で明らかになってきています。眠たくなってもソファに座って目をつむる程度にとどめておきましょう。また40〜64才の人を対象にしたアメリカの研究では睡眠時間が5.5時間未満で、起きたときに休息感がない人は死亡リスクが1.54倍まで上がることがわかっています。睡眠時間は6〜7時間は取りましょう」
※2出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」
毎日決まった時間に起き、必ず太陽の光を浴びること。
「起床後30分〜1時間以内に日光を浴びるのが効果的(※3)とされています。これで自律神経が整い、夜よく眠れるようになります」
※3出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」
昼寝の仕方も健康寿命に直結する(※4)。
「30分以上の昼寝は死亡リスクを高めることが明らかになっています。15時以降の昼寝は夜の睡眠にも影響があるので、夕方に仮眠をとるのはやめましょう」
※4出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」
睡眠の質を向上させるなら、運動は夕方に行おう(※5)。
「夕方に運動すると一時的に体温が上昇しますが、汗をかいて放熱が始まると深部体温が下がり、よく眠れるようになります」
寝る1〜2時間前に入浴することで、眠りのスイッチが入りやすくなる。
※5出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」
質のよい睡眠には、暗く、静かで、快適な温度と湿度を保つことが大切だ。
快適な温度(夏は24℃、冬は20℃前後)を保つためにも、エアコンはつけっぱなしに。
夜に窓から光が入る場合は遮光カーテンを。朝日の光で目覚めたい人は遮光率が低いものを。
間接照明を利用し、就寝時は真っ暗に。暗闇が苦手な人は、自動点灯するセンサーライトの設置を。
寝室にテレビがある場合は、必ず消してから寝よう。
※出典:厚生労働省「健康づくりの睡眠ガイド2023」