天の川銀河中心の巨大なブラックホールが吹かせる「風」の証拠を発見 50年来の謎を解明
ノースウェスタン大学のMark Gorski氏とElena Murchikova氏は、天の川銀河の巨大なブラックホール「いて座A*」(いてざエースター、Sgr A*)から吹き出すアウトフロー(風、ガスの流れ)の明確な証拠を発見したとする研究成果を発表しました。両名の研究成果は学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。 ブラックホールとは? 光さえも脱出できない超重力の天体の仕組み解説 光さえも脱出できない天体であるブラックホールを光(電磁波)で直接観測することはできませんが、間接的に観測することは可能です。 たとえば、ブラックホールの重力にとらえられた物質は、らせんを描きながら落下していく過程で、降着円盤と呼ばれる構造をブラックホールの周囲に形成します。降着円盤は落下する物質どうしの摩擦によって非常に熱くなり、可視光線やX線などを強く放出すると考えられています。銀河中心の超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)の場合、活動銀河核(強い電磁波が観測される銀河中心部の狭い領域、AGN)の観測を通じて、ブラックホールの存在や活動の様子を探ることができます。 また、ブラックホールに引き寄せられた物質はすべてが落下してしまうわけではなく、その一部は強力なアウトフローやジェット(細く絞られたガスの高速な流れ)として、外側へ向かって放出されるとも考えられています。おとめ座の楕円銀河「M87」のように、長さ数千光年にわたるジェットを噴出しているものもあります。
地球から約2万6000光年離れた天の川銀河の中心にも、いて座A*と呼ばれる超大質量ブラックホールが存在しています。いて座A*の場合は、巨大なブラックホールとしては近いところにあるため、周囲の恒星やガス雲の動きを通じて研究が進められており、質量は太陽の約430万倍と推定されています。 ただ、いて座A*が過去に爆発的な活動をしていた痕跡は確認されているものの、現在進行形で放出されているアウトフローの証拠はこれまで明確には捉えられておらず、天文学者にとって50年以上にわたる謎となっていたといいます。論文ではその理由について、現在観測されているいて座A*は静穏期にあたり、活動の微弱な痕跡を観測するのがきわめて困難だったと述べられています。