【阪神】佐藤輝明の豪快弾で日本S進出「高ぶるものあった」4番が虎党の熱気から感じるものとは
<セ・CSファイナルステージ:阪神4-0DeNA>◇第3戦◇17日◇甲子園
CS突破ダ~ン! 阪神佐藤輝明内野手(26)が豪快な3ランでチームを日本シリーズに導いた。「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第3戦のDeNA戦(甲子園)で、初回に左腕ケイのスライダーに反応。バックスクリーンに突き刺した。虎打線は主砲のバットに乗せられて難敵左腕を攻略。ストレート3連勝で2年ぶりシリーズ進出を決めた。
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たった1球で佐藤輝が勝負を決めた。センター返しで伸びる美しい放物線。バックスクリーン左隅に飛び込んだ1発は、今季何度も見せてきた軌道だった。最高潮の熱気の中でダイヤモンドを一周する姿に、4番の風格を漂わせた。
「しっかり準備して。イメージしながら入った結果かなと思います」
0-0の初回1死一、二塁。先発ケイが投じた初球外角127キロスライダーを完璧に捉えた。今季レギュラーシーズンで阪神戦防御率0・85の左腕から放った1発は、ポストシーズンでは22年以来、自身3年ぶり2本目となる本塁打。今季40本塁打、102打点でセ・リーグ2冠王に輝いた4番。シーズンさながらの豪快弾で、今季CS5打点目を挙げた。
3連勝でDeNAを制した、CSファイナルステージ。15日の初戦から、甲子園は4万2000人を超える観衆で埋め尽くされた。フェニックスリーグに参加せず、同戦は13日ぶりの試合。シーズンをも上回る熱狂ぶりは、佐藤輝ですら少し驚くレベルだった。
「久々に結構、高ぶるものがあったというか。久しぶりの感覚はありました」
大器として入団時から期待を受けて5年目。若手時代から試合に出続け、温かい歓声だけでなく厳しい声も一身に受け止めてきた。誰もが認めるスラッガーとなった今、主砲として感じていることがある。
「そういう環境でプレーって、なかなか他の人は経験できない。それは一般の人もそうだけど、甲子園というところで他のチームの人も経験できない。そう思うと貴重な体験というか。『そういう感情も楽しみながら』とやっています」
大卒5年目の27歳。日々4万人以上の観客から視線を集めて戦う中、プレッシャーすら楽しむ。技術は当然のこと、人気球団阪神の4番は精神面からスケール感が違う。
2年ぶりの日本一へ、あと4勝。25日からパ・リーグ本拠地で始まる日本シリーズに向けて、約1週間の調整期間も手にした。「しっかり休みながら、また準備したいと思います」。万全の備えで、歓喜の瞬間へ突っ走る。【波部俊之介】