ユーロ圏のインフレ率、来年には2%下回る-欧州委員会が予測

Alexander Weber

  • 米通商政策が影響、エネルギーコスト低下や中国製品の流入増加で
  • 経済成長率は来年1.4%に加速、欧州委が春季経済見通し発表

ユーロ圏のインフレ率は来年、欧州中央銀行(ECB)の目標値を下回る見通しだ。欧州委員会が予測した。米国の通商政策が影響するとみている。

  欧州委員会は19日公表した春季経済見通しで、ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)上昇率は今年半ばまでに目標の2%に低下し、来年は平均1.7%に後退すると予想した。エネルギーコストの低下や中国製品の流入増加、ユーロ高などの物価下押し圧力が「明らかに」影響すると指摘した。

  ユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率は今年が0.9%、来年は1.4%に加速すると見込んだ。ECBが3月に示した直近の予測や、国際通貨基金(IMF)が4月の世界経済見通し(WEO)で予想した数字と比べ、やや楽観的だ。欧州委は不確実性が内需を圧迫するものの、労働市場は依然堅調だとみている。

  ドムブロフスキス委員(経済担当)は「従来の予測よりも急速にインフレ低下は進んでおり、年内に2%の目標に達する見通しだ」と指摘。「だが、安心してはいられない。見通しに対するリスクは依然下振れ方向で、EUは競争力強化に向け決定的な措置をとる必要がある」と呼び掛けた。

  ECBは6月5日に次回の政策判断と合わせ、スタッフによる四半期経済見通しを発表する。米国の関税が物価に下押し圧力をかけるとの見方を政策委員会メンバーの多くが示しており、この会合では追加利下げが見込まれている。

  政策が今後どう展開するかを巡る不確実性は高い。90日の交渉期間中、米国向けに輸出する大半のユーロ圏製品には10%の関税が課される。EUはこの交渉で有利な条件を確保したい考えだが、交渉が決裂した場合に報復関税を課す米国製品のリストも用意している。

  春季経済見通しでは、米国の関税は10%にとどまり、より高い関税を課される製品や関税が免除される製品もあることを前提とした。

原題:Euro-Area Inflation to Fall Below 2% on US Tariffs, EU Predicts(抜粋)

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