トランプ砲は南アも照準、資金の全面停止を宣言-土地収用新法に抗議
- マスク氏、祖国で白人農家のジェノサイド横行と陰謀論を流布
- 新法はアパルヘイト全盛期からの旧法に代わるもの、通貨ランド下落
トランプ米大統領は南アフリカの新しい土地収用法に抗議し、同国への資金援助を全面停止すると述べた。南アの通貨ランドは外国為替市場で下落した。
南アのラマポーザ大統領は先月、国家が公的利益のために私有地を収用しやすくする法案に署名。収用には補償金の支払いを伴わないケースもある。この法律はアパルトヘイト(人種隔離)が残した遺産に対応したものでも、白人から土地を取り上げることを目的にしてもいないが、トランプ氏はかねて公に批判してきた。同氏の選挙を巨額資金で支援した南アフリカ出身の資産家イーロン・マスク氏は、南アでは白人農家に対する「ジェノサイド(大量虐殺)」が行われていると、根拠のない陰謀論を拡散している。
トランプ氏は2日、自身のソーシャルメディア「トゥルースソーシャル」に「南アフリカは土地を没収している。特定階級の人々に対し非常にひどい仕打ちだ」と投稿。「この状況に対する綿密な調査が完了するまで、南アフリカには今後、一切の資金援助を打ち切る!」と続けた。
ラマポーザ大統領はこれを受けて、同国はまだ土地を接収していないとの声明を3日に出した。外相は同法と類似した土地接収の原則は米英にもあるとして、その正当性を主張した。
ラモラ国際関係・協力相は 「トランプ大統領のアドバイザーらが調査期間を活用し、立憲民主国家、南アフリカの政策を包括的に理解してくれると信頼している」と電話で話した。
トランプ氏の発言を受けて、ランドは対ドルで一時2%下落。その後、下げ幅を縮小し、ニューヨーク時間午前9時25分現在は0.9%安の1ドル=18.84ランドとなっている。市場ではトランプ氏が関税の公約を実行に移したことから、中国の人民元やメキシコ・ペソなど新興市場国の通貨が圧迫されている。
PRESIDENT RAMAPHOSA LOOKS FORWARD TO ENGAGING WITH PRESIDENT TRUMP OVER ISSUES OF BILATERAL INTEREST AND CONCERN
South Africa is a constitutional democracy that is deeply rooted in the rule of law, justice and equality. The South African government has not confiscated any land.… pic.twitter.com/ttVXfhshVJ
収用法はアパルトヘイト全盛期にあった1975年施行の旧法に代わるもの。旧法がもたらした人種間での富不均衡は現在も続いている。南アでは人口のわずか7%を占める白人が、農地の4分の3近くを所有している。