NY市長選、投票続く-「資本主義の都」に社会主義の指導者誕生なるか

米ニューヨーク(NY)市で4日、市長選挙の投票が行われており、有権者は「資本主義の都」とも呼ばれる同市の将来を託す上で厳しい選択を迫られている。候補者が若い社会主義者、経験豊富な前NY州知事、赤いベレー帽で知られるラジオ司会者という対照的な顔ぶれだからだ。

  世論調査では民主党候補のゾーラン・マムダニ氏が6月の予備選以降、支持率で首位を維持している。富裕層への増税を公約に掲げてウォール街の大物たちを警戒させる一方、生活費の負担を軽減すると訴えて若年層の支持を集めている。

   民主党予備選で敗れた後に無所属で出馬したニューヨーク州前知事のアンドリュー・クオモ氏に対し支持率で2桁のリードを維持している。犯罪対策を訴える共和党候補のカーティス・スリワ氏は3位にとどまっている。

  各候補は今回の選挙を、米国の金融の都の未来を決める重要な住民投票と位置づける。市はトランプ大統領による移民政策の強化や、生活費の高騰、暴力犯罪への不安といった問題に直面している。

  投票率は正午までに2021年の総数を上回った。73万5000人以上が期日前に投票した。21年の総投票者数は115万人だったが、ニューヨーク市選挙管理委員会は、4日午後3時時点で期日前投票開始以降の総投票数が145万票に達したと報告した。

  マムダニ氏は数カ月にわたり支持率首位を維持してきたが、最近の調査ではリードが縮小。期日前投票のデータでは高齢層の投票率がやや上昇しており、この層は67歳のクオモ氏を34歳のマムダニ氏より好む傾向があるとみられている。

  キニピアック大学世論調査部のメアリー・スノー副部長は「今回の選挙戦は紆余(うよ)曲折がとても多く、最終結果に不透明感を残している」と語った。

11月3日にブルックリン橋で選挙運動を行ったゾーラン・マムダニ氏(中央右)

  同大学が10月23-27日に実施した最新調査では、マムダニ氏の支持率が43%で首位、クオモ氏が33%、スリワ氏が14%だった。誤差は4ポイント。マムダニ氏の最大の支持基盤は35歳未満の層。クオモ氏はユダヤ系有権者の支持が最も厚い。

  NY市長選は全米でも重要視されている。2024年大統領選でカマラ・ハリス候補が敗北した後、進むべき路線の定義に苦戦する民主党にとって、党の将来を示す先行指標となるためだ。

  トランプ氏率いる共和党を打倒するには、中道寄りの立場を取り穏健派に訴えるべきか、それとも若年層を引きつけるべくより左派的な政策を掲げるべきか。今回ニューヨーク市民が下す選択は、26年の米中間選挙で民主党が下院奪還を目指す戦略を形作ることになりそうだ。

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原題:NYC to Decide If a Socialist Will Run the Capital of Capitalism (3)(抜粋)

— 取材協力 Jennah Haque, Raeedah Wahid and Katia Porzecanski

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