ビットコインは決済プラットフォームではない(CoinDesk JAPAN)

ツイッター(現X)の創業者、ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏は、ビットコインがスケールするには決済が不可欠と述べている。だが、トラスト・マシンズ(Trust Machines)のCOO(最高執行責任者)レナ・シャー(Rena Shah)氏は反対意見。ビットコインは、世代を超えた富、あるいはインフレに対する価値の保存手段であり得るとともに、進化する金融エコシステムにおけるアクティブな資産にもなり得ると同氏は語る。 ◇◇◇◇◇ ジャック・ドーシーは氏は先日、ビットコイン・コミュニティは決済の拡大(スケーリング)に焦点をあてるべきだと述べた。「ビットコインが日常の中で意味を持つためには、決済手段でなければならないと思う」と、ドーシー氏はポッドキャスト番組「21 in 21」でヘイリー・バーコ(Haley Berkoe)氏に語った。 私は反対意見だ。 ビットコイン開発者と現場で向き合いながら、マーケット・メーカーや投資家とも話をしている立場として、私は「決済こそがビットコイン普及の鍵」という考え方には基本的に反対だ。 ビットコインの日常での意味を高める唯一の方法は、売却したり、送金することなく(つまり、長期保有しつつ)、ビットコインを日常的に利用できる機能をさらに増やすことだ。これは特に機関投資家サイドにおいて顕著であり、優れた企業戦略とはバランスシートにビットコインを保有することにとどまらない。 ビットコインは世代を超える資産だ。ほとんどの保有者は売却するつもりがないことを理解したうえで、チェーンの健全性を維持する方法を考えなければならない。マイナー報酬が半減期ごとに減少していくなかで、彼らにインセンティブを与える持続可能な方法を見つけることが、今後10年のビットコインに関する議論の大きな部分を占めるだろう。 スタックス(Stacks)のようなレイヤー2スケーリングは、ベースレイヤーを損なうことなく、スマートコントラクト機能をビットコイン・エコシステムにもたらすことができる。これは、単に決済をスケーリングすることよりもはるかに多くのチャンスを生み出す。 ビットコインは2025年、「デジタル・ゴールド」としての地位を確立している。個人、機関投資家、国家は、安全資産としてビットコインを保有している。このトレンドは、決済手段としての未来にはつながらない。むしろ、ビットコイン保有者がビットコインDeFi(分散型金融)に参加し、ビットコインを生産的な資産にする絶好のチャンスを生み出す。 最近の暗号資産取引所バイナンス(Binance)の調査レポートによると、現在、DeFiに利用されているビットコインは、わずか0.8%程度だ。つまり、ビットコインブロックチェーン上に明確な事例を作ることができれば、そこには1兆ドル近い未開拓の市場が広がっている。 ビットコインのコア・バリューは、安全性、分散性、供給量の有限性だ。それを知りながら、ビットコインを決済手段として使う者がいるだろうか? そうではなく、DeFiプロトコルを通じて、すでにビットコインをL2にブリッジし、ステーブルコインを借りることができる。現在、ビットコインは世代を超える富と見なされているため、最高の担保となり得る。DeFiでは、ビットコインをブロックチェーン上に安全に保管したまま決済手段として使用できる。 ビットコインDeFiは、ビットコインを最も純粋な形の担保として利用できるようにする。 「ビットコインが多くの人にとって、日常的に意味のあるものにならなければ、ビットコインは成功しない」というドーシー氏の意見には同意する。だが、我々はビットコインDeFiを通じて、チェーン上でより多くのことを可能にすることで、長期的な意味を高めることができる。 ビットコインの安全性を損なうことなく、貸付や借入などの金融サービスを可能にするなど、ビットコインの機能性を拡張することに取り組む開発者は、この分野における新たなリーダーとして台頭するだろう。こうしたL2を活用すれば、ビットコインで貯蓄口座を開設したり、ビットコインで利子を獲得したり、ビットコインを担保に融資を受けることが可能になる。そして実際、こうした行動のほとんどすべては、L2によって実現される。 ビットコインは、世代を超えた富、あるいはインフレに対する価値の保存手段であり得るとともに、進化する金融エコシステムにおけるアクティブな資産にもなり得る。 ビットコインの有用性は、より多くの可能性を作り出すことがポイント。モーニング・コーヒーをビットコインで購入することではない。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Is Not a Payments Platform

CoinDesk Japan 編集部

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