「アルファ世代」を魅了し年商150億円、キッズ向けスキンケア「Evereden」を創った女性起業家(Forbes JAPAN)
キンバリー・ホーは、ウォール街でのキャリアを27歳で捨てた。それはなぜか? 2018年、子ども向けスキンケアを手がける「Evereden(エバーデン)」をニューヨークで立ち上げたからだ。2010年以降に生まれた「アルファ」世代を主なターゲットにした彼女の事業は、今や多くの顧客とともに成長を遂げている。 ■「私は“製品作り”へのこだわりを緩める気はない」 ホーの自宅のダイニングテーブルの上は、いつも散らかっている。白い大理石のテーブルを汚しかねないことも気にせず、クレヨン型のカラフルなリップ製品などを試すからだ。 「私たちの会社は、今でこそ化学者や製品開発の専門家が在籍する研究所を持つまでに成長したけれど、私は“製品作り”へのこだわりを緩める気はない。製品に夢中でいることは、私たちの根本にある理念、DNAだから」と、2019年のフォーブス「30 Under 30」に選ばれたホーは語る。 ■ファミリー向けスキンケアという未開拓市場で、顧客と共に成長 ゴールドマン・サックス出身の夫ファン・リーとともに、2018年に彼女が共同創業したEveredenは、乳幼児やプレティーン(10歳前後の子ども)向けのスキンケアおよびヘアケア製品の市場を開拓し、直近の売上高は年間1億ドル(約146億円)に達している。同社の初期の顧客の多くは、敏感肌の乳児のため安全な製品を探していた若い母親だった。 2018年から2021年にかけて、ベンチャーキャピタル(VC)から約4000万ドル(約58億円)の資金を調達したEveredenは、顧客層と同様に成長し、現在では子どもやプレティーン、妊婦を対象とするフェイスセラム、コンディショナー、香水などを展開している。同社は、米国外ではカナダ、オーストラリア、フィリピンを含む8カ国において、美容製品専門店チェーン「セフォラ」の店舗での販売を行っているが、収益の大半はオンラインでのD2C(消費者直販)によるものだ。 「成人女性向けの美容製品、パーソナルケア、スキンケア製品には、数十億ドル(数千億円)もの資金が注がれてきたのに、ファミリー向けのスキンケア製品にはそのような投資は向けられてこなかった。そのギャップが、私にはどうしても納得できなかった」とホーは話す。 ■8~12歳にあたるTween(トゥイーン)の市場に注力 ウルタ・ビューティが昨年実施した消費者動向調査によると、ソーシャルメディアの影響で、アルファ世代は平均8歳で初めて美容製品に触れるという。これは、この分野に初めて関心を持った年齢がミレニアル世代では平均15歳、Z世代では平均12歳だったのと比べて、明らかに低年齢化が進んでいることを示している。 「こうした若年層の消費者は、スキンケアに関心があり、インターネットの情報にさらされているが、適切な製品を選ぶための手助けを必要としている。さもなければ、自分のニーズに合わない大人の肌向けに作られた製品に手を出し、使うことになる」と、投資リサーチ会社モーニングスターのアナリスト、ダン・スーは述べている。 「Everedenで最も注目すべきは、8~12歳の子どもにあたるTween(トゥイーン)の市場に注力している点だ。この分野は、企業、投資家、ビューティ業界全体の関心を集めている」とスーは続けた。