合体しつつある3つの銀河と活発なブラックホール 12億光年先の相互作用銀河を電波で観測

こちらは、合体しつつある3つの相互作用銀河からなる系と、各銀河に存在するAGN(活動銀河核)を描いた想像図。

おとめ座の方向、約12億光年先にあるこの系は、AGNのカタログ名をもとに「WISE J121857.42+103551.2/WISE J121901.77+103515.0」と呼ばれています。本記事では以下「J1218/J1219+1035」と表記します。

【▲ それぞれがAGN(活動銀河核)を持つ3つの相互作用銀河からなる「J1218/J1219+1035」の想像図(Credit: NSF/AUI/NSF NRAO/P. Vosteen)】

画像右上に描かれている2つのAGNの間隔は、約2万2000光年。このうち左側のAGNと、画像左下に描かれている離れた場所のAGNは、約9万7000光年離れています。

AGNとは、強い電磁波が観測される銀河中心部の狭い領域のこと。その原動力は、太陽の数百万倍~数十億倍の質量がある超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)だと考えられています。

3つすべてのAGNが電波で確認された初のケース

Emma Schwartzman博士(NRL=アメリカ海軍調査研究所)を筆頭とする研究チームは、アメリカのVLA(カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群)とVLBA(超長基線アレイ)による高分解能の電波観測を行い、可視光線や赤外線では特定が難しかったものも含め、J1218/J1219+1035に3つのAGNが存在することを確認したとする研究成果を発表しました。

【▲ 「J1218/J1219+1035」の観測データを示した図。左上は地上からの光学観測で取得したもので、右上・左下・右下はVLAで取得したもの。AGNの位置は3つの円で示されている(Credit: Schwartzman et al.)】

J1218/J1219+1035は、NASA=アメリカ航空宇宙局の赤外線天文衛星「WISE」(後のNEOWISE)が取得した中間赤外線のデータをもとに、相互作用する2つの銀河に少なくとも2つのAGNが存在する可能性があるとして注目されていました。

NRAO=アメリカ国立電波天文台によると、J1218/J1219+1035にあるのは近傍宇宙で知られている3番目の三重AGN(※)であり、3つすべてのAGNが電波で確認された初めてのケースです。

※…研究チームの論文では、他の2つとして「ヒクソンコンパクト銀河群16(HCG 16)」と「SDSS J0849+1114」が挙げられています。

3つの活発な超大質量ブラックホールの存在を示唆するJ1218/J1219+1035は、銀河どうしの衝突によって銀河中心へのガスの流入がどのように起こり、ブラックホールの成長を促すのかを理解する上で、良い研究対象になると期待されています。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

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