「日本へ帰ったら、すぐに選手を見に行きたい」(小野監督)。U-17W杯へ向けての競争は早くも始まっている
U-17日本代表が2大会ぶり5度目のU17アジア杯制覇
[5.22 U17アジア杯決勝 日本 3–2 中国 ジェッダ] 5月5日に開幕したAFC U17アジア杯サウジアラビア2026は、5月22日に決勝戦を迎えた。 キング・アブドゥラー・スポーツシティホール・スタジアム・レジェンズにて行われた最後の試合に駒を進めたのは、U-17日本代表とU-17中国代表。グループステージ第2節に続く“日中戦”だった。
前半のスコアは3-0。「一番良い前半だった」とMF北原槙(FC東京)が振り返り、MF和田武士(浦和ユース)は「何なら今大会で一番いいゲームをしていたと思います」と言うほどの内容だった。相手をシュート0本に封殺しつつ、課題の決定力も発揮して、3-0。「完璧すぎるくらいだった」というMF里見汰福(神戸U-18)の言葉に異論は余り出ないだろう。
だから日本の選手の気が緩んだ……という面がゼロだったとは言えないが、中国側の変化がより大きな変化の要因だろう。「前日練習でやっただけ」(浮嶋敏監督)という「プランBとして持っていた」戦術にシフトするとともに、選手も士気高く後半のピッチに飛び出し、一気に巻き返しを図った。
「フワッとした方で入ってしまった」(GK大下幸誠)後半開始直後、中国のゴールキックを跳ね返したところを奪い返されてカウンターを受けるという流れから失点。「この1点がいろんな意味で流れを変えてしまった」(小野信義監督)と、一気に試合の天秤が傾いてしまった。そしてPKからさらに失点し、終盤まで厳しい戦いを強いられることに。最後は何とか逃げ切ることに成功したが、優勝の喜びと苦戦の反省が半ばするような決勝戦となった。
ただ、「本大会への課題」が出たことを前向きに捉えるべきでもあるし、苦しい流れの中を全員で耐え切ったというのも一つの成功体験だろう。「本大会でも苦しい試合は絶対にある」(和田)中で、ウズベキスタンとの準決勝に続いて接戦を制したことは収穫とも言える。 「年末にU-17ワールドカップがある中で、厳しいゲームを勝ち切れたことは1個良かったと思います」 小野監督もそう語った上で、「自分たちが課題としていた部分が出てしまった」ことも指摘する。そもそものカウンターからの失点の多さ、最終ラインでのボールロスト、そして前後半の入りの時間帯のプレーなど今大会にも見られ続けた課題は、世界大会で当たる相手には絶対に見逃してはもらえない。小野監督はチーム解散前に、あらためて課題の部分について選手たちと共有したい考えだ。 そしてもう1点、強調するのは「ここから競争が始まる」ということだ。前回大会ではこのアジアカップからワールドカップにかけて半数近い選手が入れ替えとなったが、今回もまた新しい選手を積極的に探していくことを小野監督は明言する。 「日本全国で『よし俺が世界に行くぞ』って思っている選手が絶対にいるだろうし、この代表に関わっていたけど、最後のメンバーに入れなかった選手もいますから」 その上で、期待を込めてこう話した。 「競争がチームを強くするし、競争がないと選手も良くならない。日本へ帰ったら、すぐに選手を見に行きたいし、そこでまたみんなが見せてほしいなと思います。高いレベルの競争をした上で、U-17ワールドカップを迎えられたらと思っています」 また8月にアメリカ合衆国で開催される初の“ナショナルトレセンU-16海外版”となる“FUTURE CAMP”にも、「国内でやっている選手が持っていないようなものを持っている選手が出てきて、より競争を激しくしてくれれば」と期待を寄せた。 タフな戦いを制してアジア優勝を掴み取ったのは、23人の選手たちの力あってこそ。ただ、世界大会は予選突破の“ご褒美”などではなく、その時点で最良のメンバーを選び直して勝ちに行く舞台となる。 2009年以降に生まれた選手たちによる「世界への挑戦権」を懸けた熱いメンバー争いが、またこの世代を一段強くしてくれることだろう。
DF元砂晏翔仁ウデンバ(鹿島)の手にトロフィが手渡された
プレゼンターを務めた日本サッカー協会・宮本恒靖会長
(取材・文 川端暁彦)●AFC U17アジアカップ2026特集