【批判殺到】東京都公式がSNSで「東京だけ地方に税収が奪われる」と投稿!→「地方から若者を吸い上げてるのに」「詭弁では?」など意見も多数…発信内容と“地方の現状”とは(ファイナンシャルフィールド)

東京都公式アカウントからの発信は 「これ知ってる? 年間1.5兆円もの都税が都民のために使われず、全国に分配されているってホント!?」 という書き出しから始まり、「なぜ東京だけ税収が奪われる?」という疑問に答えるような形で展開されました。 これらの発信は「ファクト」として誤ったものではありませんでしたが、文章がかなり批判的で「(地方に)奪われる」というような否定的な言葉遣いであったのも手伝い、主に地方在住と思われる人たちからの以下のような内容の激しい批判を呼びました。 ・東京は、エネルギー(電力)、食料、人材、防災を地方に依存して成り立っている。地方が疲弊すれば、東京も成り立たない。 ・年間8万人もの、他県で育てた子どもが東京に吸い上げられている。逆に引退した老人は地方が受け入れている。 ・法人税は本社があるところ(東京)の総取りなので、会社が地方で稼いだ金を東京で使う形になっているのだから、地方に還元するのは当たり前である。 ・都市部と地方の格差をなくすために地方交付税が支給されているのだから、それを含めたら東京都の人口1人あたり地方財源額が全国平均と変わらなくなるのは当然であり、東京都の発信内容は詭弁(きべん)である。 地方から東京への若年人材流出は長らく続く大きな問題で、どの意見も頷けるものですが、これらの批判文を読んでいると、いち地方在住者で元地方公務員でもある筆者には、複雑な思いが起こりました。

筆者はいわゆる「地方」である沖縄県在住で、東京都からは多額の「地方交付金など」を受け取る側です。また、特に米軍基地を多く受け入れている地域でもあることから、国からも巨額の「一括交付金」を毎年受け取っている自治体に住む立場です。 その上で、そのような財政的援助がむしろ、沖縄の地場産業が発展するのを阻んできたのではないかと、以前から強く感じていました。 沖縄県内の産業が国などからの交付金依存になってしまい、交付金を得るための政治的駆け引きに必死になることで、業務の改善や人件費の引き上げなどが後回しとなり、その結果として東京など都市部への人材流出を招いているのではないかと…… 沖縄県内の大学の准教授が、同様の疑問を持って研究し、それをまとめた書籍が5年ほど前に発刊されベストセラーになりました。沖縄県内からも「ウチアタイ(沖縄方言で『心に響いた』『思い当たることがあり、反省した』というような意味)した」という反響が多く出ました。 おそらく、沖縄県ほどではないにせよ、東京や国からの交付金が地方自治体の産業力を弱くさせているという似通った状況が、日本各地の地方でもあるのではないかと筆者は想像しています。 先日、以下のような意見を、同じくX上で見かけました 「仮に東京都で大災害が起きれば、最初に苦しみ、潰れてしまうのは地方の自治体である。なぜなら、今まで東京から地方に毎年渡されていた巨額の地方交付金などが、すべて東京の復興に使われる大義名分が立つからだ」 実際に上のような事態になれば、日本国も財政的な手を打つでしょうから、現実的に起こる可能性は少ないと思いますが、原則的には間違っていない指摘だと筆者は思います。 今回の東京都の発信は、地方の自治体に対して非礼で不用意だったものの、事実関係として誤ってはいません。 そして、地方の自治体の財源が「東京依存」である状態は、非常に不安定で永続を期待するべきものではなく、地方としては東京依存に陥らず独自に産業を発展させ、若者の流出を押しとどめ、むしろ都心からの移住者が増えるほどになるよう、対策をとっていくことが本来の姿でしょう。 ここまで都市部への人材や富の偏重が進んでしまった現代では、流れを反転させるのは非常に難しいことですが、各地方の産業を支える多くの人には「東京から交付金をもらうことは当然で、東京はもっと地方へカネを支払うべきである」という安易な考えに陥らず、東京に本社のある企業に負けないだけの商品・サービスを開発し、税金に依存せず持続的に稼ぐ、というスタンスになってほしいと、筆者は心から願っています。


Page 2

東京都のX公式アカウントが「年間1.5兆円もの都税が都民のために使われず、全国に分配されている」という内容の投稿を行い、激しい批判が巻き起こりました。 東京都の発信した内容は事実ではあるものの、地方が生産する電力や食料などを消費して成り立っている東京都によるこの発信は、地方に対しての敬意や配慮の欠けたものだったと言えるでしょう。 とはいえ、東京都などが地方交付金として支出する財源に依存しすぎることは、地方の産業に対して長期的な悪影響を及ぼします。不安定な「東京依存」を脱するためには、地方独自の努力と取り組みが必要でしょう。 執筆者 : 山田圭佑 FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

ファイナンシャルフィールド編集部

ファイナンシャルフィールド
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: