『鬼滅』激アツ設定も即“放置”? 置いてけぼり感ハンパない「しれっと姿を消した」謎ルール
2025年7月18日に『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の第1章の公開が決定しました。『鬼滅の刃』には「呼吸」や「全集中」、「柱」をはじめ、さまざまな「設定」があります。そのなかには、必要性が謎すぎて、とまどいしか残さなかった「謎設定」もありました。
2025年7月18日に『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の第1章公開が発表され、「予想外に早っ!」「夏は鬼滅」などネット上では多くの喜びの声があがっています。
※この記事にはTVアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』以降の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
さらに「竈門炭治郎 立志編」から「柱稽古編」までのTVアニメシリーズの特別編集版の劇場上映や『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のリバイバル上映も発表され、衝撃が走りました。
『鬼滅の刃』には「呼吸」や「全集中」、「柱」をはじめ、さまざまな「設定」がありますが、なかにはその必要性が謎すぎて、「この設定って必要だった?」という設定もあります。
「謎設定」として挙げられることが多いのが、「鬼殺隊の階級制度」です。「癸(みずのと)~甲(きのえ)」まで10段階あり功績によって昇進し、柱は甲の隊士から選ばれるという設定になっています。
しかし、ストーリー上で階級について触れられるのは「竈門炭治郎」と「嘴平伊之助(はしびら いのすけ)」が「下弦の伍」である「累(るい)」と彼の偽家族と戦った「那田蜘蛛山の戦い」で先輩隊士の「村田さん」と出会った際と、「遊郭編」で伊之助が炭治郎に手の甲に「階級印」が浮かび上がる「藤花彫り(とうかぼり)」の設定を教えるシーンだけです。
この仕掛けについて、ネット上では「音声認識とか高度なテクノロジーを使ってるっぽいけど役に立ってはいない」「木札で十分」などの声があがっていました。確かにその後は特に触れられることはなく、「柱稽古編」でも隊士たちが階級別に訓練を受けるようなシーンもありません。そのため「柱」以外の隊士については「一般隊士」という、ざっくりしたくくりで語られるようになり、「階級」も忘れられた存在になっていったと考えられます。
同じく序盤にあった設定で、ほとんど意味がなかったと言われているのが「最終選別通過者に日輪刀を造るための鋼(はがね)を選ばせる」設定です。この鋼は太陽に一番近い山である「陽光山(ようこうざん)」で採掘されるもので、同じく陽光山の砂鉄とともに日輪刀の原料となります。
太陽の光を吸収するという性質を持っているため、鬼を滅することができるという設定でした。しかし、「刀の色」は使い手の隊士が刀になって手にしたときに変わるものなので選んだ鋼に由来するものではありませんし、炭治郎は「刀鍛冶の里編」以降、戦闘用絡繰人形「縁壱零式」の内部に隠されていた刀を使うようになったので、「選んだ鋼」で作った日輪刀の存在意義が感じられません。
炭治郎と鋼塚さん、「霞柱」の「時透無一郎(ときとう むいちろう)」と「鉄井戸」「鉄穴森(かなもり)」さん、「甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)」と「鉄珍(てっちん)」様のように、素材としての鋼の力よりも、隊士と刀鍛冶との相性の方が大切であるように思えます。
そのため、最終選別の後にやるべきは、「鋼」ではなく「刀鍛冶」とのマッチングでしょう。ただし人の話を聞かずに一方的にしゃべる上、癇癪(かんしゃく)持ちの鋼塚さんとペアを組んでくれる隊士がいるかどうか心配です。
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これから始まる「無限城編」以降で明らかになる謎設定もあります。
そのひとつが鬼の始祖である「鬼舞辻無惨」が1000年以上探し求めている「青い彼岸花」です。青い彼岸花は、無惨が人間だったときに治療していた医師が作った薬に使われていたとされていますが、唯一、青い彼岸花についての情報を持っている医師を無惨が殺してしまったので栽培法はおろか生息地すら不明でした。
結局、無残や彼の部下の鬼たちは最後まで青い彼岸花を発見することができず、後日、奇跡的に発見されたものも伊之助の子孫の手によって完全に絶滅してしまったのです。その開花について、「花が咲くのは昼間のほんの数分から数十分」とされ、鬼たちが見つけられなかった理由が判明しました。
ネット上では、「存在が中途半端」「オチが雑すぎる」などの声があがり、「鬼の謎の象徴」と見られていた青い彼岸花は、「無惨の愚かさの象徴的な……」と言われるようになり、すっかり魅力を失ってしまったのです。
そして、これから始まる「無限城編」に続く、無残との最終決戦で明らかになる「無惨の脳と心臓が複数個ある」という設定も「謎設定」と呼ばれています。
「透き通る世界」を獲得した「岩柱」の「悲鳴嶼行冥(ひめじま ぎょうめい)」や「蛇柱」の「伊黒小芭内(いぐろ おばない)」、炭治郎が見た「無惨の身体」には5つの脳と7つの心臓があり、しかもその位置が移動していて狙うことができないという設定です。
まず「心臓」については、それが生死にかかわる臓器であるというなら、鬼はすでに「生きていない」のだから必要ないと言えるでしょう。「脳」に関しても産屋敷邸での爆破の後、悲鳴嶼さんに頭部を破壊されても元通りに再生しましたし、縁壱から逃亡するために肉片になって飛び散った後でも、無惨の肉体は元どおりに再生したことを考えれば脳が複数個ある必要性も見いだせません。
強いて言うなら5つの脳を持つメリットは珠世の薬によって、自分の体が「9000年老いている」と素早く計算できた点くらいです。そうでなくても無惨は怒りにまかせて「下弦の鬼」たちを殺したり、浅草で炭治郎の始末を自分でしなかったりなど失策の多さが目立ち、鬼でありながら鬼殺隊に協力する「珠世」にも「無駄に増やした脳みそを使って考えたらどうだ?」とディスられています。
その他にも、「わざわざ無限城で繭(まゆ)にこもった無惨が謎。鬼殺隊は上弦の鬼にまかせて、別の場所で体力回復すればいいのに」「無惨は男、女、子供に化けていたが、そんなに何重生活もできるの?」など、視聴者をとまどわせる謎設定があっても丸ごと楽しめるのが『鬼滅の刃』の魅力なのでしょう。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記 ※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記。
(山田晃子)