日本百名山、1年9か月の短期間で踏破…インスタで「雄大な大自然の魅力」発信も
秋田県北秋田市の地域おこし協力隊で登山ガイドの柳田大志さん(38)が、日本百名山を約1年9か月間という短期間で全山踏破した。休暇を取って車や鉄道などで移動し、テント泊を繰り返しての完登で、「自分の足で行ける日本地図の空白部分を埋めることができた」と達成感に浸っている。(寺口信二)
驚異的なハイペースで日本百名山を登った柳田さん(4日、北秋田市で)仙台市出身の柳田さんは2022年3月、同協力隊の観光振興コーディネーターとして着任。北秋田市の森吉山に3年間で99回登り、樹氷や花の百名山として高山植物が咲き誇る魅力をSNSで発信してきた。
青天の槍ヶ岳山頂に立つ柳田さん(2024年9月12日撮影、本人提供)日本百名山への挑戦は23年3月、新潟県の巻機山から開始。今年1月までに北は北海道・利尻島の利尻岳、南は鹿児島・屋久島の宮之浦岳までを登破した。短期間での攻略には体力づくりのほかに、雪が積もっていない時期にしか登れない山と、通年登山できる山を別々に選んで計画的にスケジュールを組んだことが奏功した。
北海道の7座を集中して登った24年4月、独立峰の利尻岳で爆風に遭い、ピッケルを刺して四つんばいで避難小屋まで約1キロを進むなど山の恐ろしさを改めて感じた。北アルプスで6座を縦走した同9月には、5泊6日の最終日に挑んだ富山県の剱岳で大雨に見舞われ、「カニのタテバイ」と呼ばれる岩場を滝のように落ちる雨水を乗り越えて登頂した。
富士山では静岡県側から海抜0メートルの海面にタッチしてから山頂を目指す「ゼロ富士」に挑み、5合目までのコンクリート地面で疲労 困憊(こんぱい) 。足の爪や膝を痛めながら1泊2日で山梨県側へ縦走した。
美しい山としては本県と山形県にまたがる鳥海山を挙げ、「樹林帯を抜けることもなく、登山口から日本海がドーンと見え、絶景が続いていた」と振り返る。
最後に目指したのは、「洋上のアルプス」と呼ばれる屋久島の宮之浦岳。JR青春18きっぷを使う移動で1月としては珍しく山頂付近は雪に覆われていたが、中腹から海面を望む雄大な風景を撮影し、「ラストにふさわしい山旅だった」と語る。
登山は単独行で撮影は三脚を使う自撮り。「人を写さず、雄大な大自然の魅力をアングルにこだわって撮影する」という。登頂記録はインスタグラム「yanagi_outdoor」で発信している。
日本を旅するのが好きで25歳の時、百名山の96座までを登った。「今回は高山植物などの知識を得て、どのルートが楽しいか、山頂に立つまでの行程を楽しんだ」と語る。
森吉山へ100回の記念登山は24日、募集した登山客を案内する計画。協力隊任期満了の3月に離任した後は、仙台市を拠点に山岳ガイドを続ける予定だ。