ニュージーランド無人の山中、崖から車ごと転落 「このまま死ぬかも」絶望の旅人を救った老夫婦の「家賃いらないよ」から始まった温かい1週間
車中泊をしながらニュージーランドを巡っていた女性が、旅の途中で滑落事故を起こし生還した経緯をThreadsに投稿し話題となっています。投稿主はニュージーランドでワーキングホリデー中のHarukaさん(@gongqiyao0414)。Threadsに投稿された壮絶な体験談は多くの人の心を打ち、「こちらの投稿を見てニュージーランド行きたいと思いました!」「素敵なご夫婦に出会えて本当に良かった」など温かいコメントが続々と寄せられています。
滑落事故によってボコボコなってしまった車体/Harukaさん(@gongqiyao0414)提供
2025年6月、Harukaさんはニュージーランド北島をロードトリップ中、山道カーブでハンドル操作を誤り、30mほど車ごと落下してしまいます。ところが、フロントガラスや窓ガラスが割れたり車体はボコボコになったものの、シートベルトを着用していたことが功を奏してか、運転していた本人は無傷。「滑落直後、自分が無傷だったと言うこともあって、まるで悪夢を見ているかのようでした」と、事故当時をHarukaさんは振り返ります。
約30mの高さから落下/Harukaさん(@gongqiyao0414)提供
フロントガラスには大きなヒビが/Harukaさん(@gongqiyao0414)提供
「無事でラッキーという感情より、”人気のないところで単独事故を起こすとは何をやっているんだろう…”と絶望が勝りました。携帯が無事なことと電波が届くことに安堵し、”レッカー会社を呼ばなきゃ〜”と電話をかけようとしたところ、おじいさんの声が聞こえて、まさに”神の声”だと感じました」(Harukaさん)
駆けつけてくれたのは、事故現場の近所に住んでおり、当時庭先でガーデニング中だったというおじいさん。音を聞きつけて、「何も心配しなくていいから、しばらく家にいなさい」とHarukaさんに声を掛けてくれたのだそう。
「おじいさんが声を掛けてくれたときは、心の底から安堵しました。”車なしでどう生きていくか…”と不安だった私にとって、『家賃はいらないよ、手伝ってくれればいいから』という言葉は救いでしたね」(Harukaさん)
その後、帰宅されたおばあさんも快くHarukaさんを受け入れ、保険会社への電話や紛失した荷物の回収も手伝ってくれたと言います。
Harukaさんを救ってくれた老夫婦/Harukaさん(@gongqiyao0414)提供
そこから始まった老夫婦との約1週間の共同生活について、Harukaさんは次のように話します。
「おじいさんは物知りで器用な方で、庭には手作りの作業小屋がありました。料理も上手で、いっぱい食べる私に『食べられるだけ食べていいからね!』といつも声をかけてくれて…。おばあさんはマオリの文化に詳しくて、植物の使い方や言葉を教えてくれました。突然踊ったりジョークを飛ばしたり、まるでムードメーカーのような方でした」(Harukaさん)
昼間はお互いの作業に集中し、夜は暖炉を囲んで夕食。70年代のシティポップを聴きながら踊るなど、「すごくあたたかい雰囲気で居心地は最高に良かった」と、突如始まったホームステイ生活について語ります。
突如始まったホームステイ生活はとてもあたたかい時間だったと言います/Harukaさん(@gongqiyao0414)提供
そして訪れた別れのとき、Harukaさんはこう伝えたといいます。
「『本当にありがとうございました。あなた達のおかげで、この事故がただの災難ではなくニュージーランドの素敵な思い出となりました』と、お礼を言いました」(Harukaさん)
その後も老夫婦とは連絡を取っているそうで、「『いつでも泊まりに来ていいからね!ニュージーランドの”祖父母”より』という言葉が嬉しかった」と話します。
この経験を投稿したThreadsには様々な声が寄せられましたが、中でも「ニュージーランドに行きたくなった!」というコメントが特に嬉しかったというHarukaさん。
「ニュージーランドで7カ月過ごして、この地の自然や人が大好きになり、今まで2カ月間にわたって車で国内を旅した経験をSNSでシェアしてきました。この事故がきっかけで、ニュージーランドに興味を持ってくれたならば、それ以上に嬉しいことはありません!」(Harukaさん)
また、この経験を通じて、Harukaさんは自身の価値観にも変化があったと言います。
「滑落してる最中、“このまま死ぬかも…”と思うと同時に、”やりたいこと(ニュージーランドでの旅)をしているから後悔はない!”と感じていました。でも無傷で生還できたことで、“生きていればなんでもできる”と、強く思えるようになったんです」(Harukaさん)