【太陽系の果てに新たな“惑星Y”が存在?】カイパーベルト天体の不自然な傾きは惑星Yの影響か(スペースチャンネル)
太陽系の外縁部に、まだ見ぬ惑星が潜んでいるかもしれません。米・プリンストン大学の天体物理学者アミール・シラジ氏らの研究チームは、海王星のさらに外側にあるカイパーベルトの天体の軌道が「不自然に傾いている」ことを確認しました。この傾きの原因として、彼らは新たな仮説上の惑星——「惑星Y」の存在を提唱しています。
■ 惑星Yとは? 地球より小さく、水星より大きい可能性
未知の惑星「プラネット・ナイン」 出典:nagualdesign; Tom Ruenシラジ氏によると、惑星Yはまだ観測されていませんが、その影響が遠方の天体たちの軌道に現れています。「この研究は“発見”ではなく、“パズルの発見”です。その答えが惑星である可能性が高いのです。」
チームの計算では、惑星Yは質量が水星と地球の中間程度、太陽からの距離は地球—太陽間の約100〜200倍、そして10度以上傾いた軌道を回っていると推定されています。
未知の惑星探しの歴史は古く、1846年に海王星が発見された後から「次の惑星」を求める探査が続いてきました。20世紀初頭には「プラネットX」という呼び名が広まり、1930年に冥王星が見つかると、それが一時的に“第9惑星”とされました。しかし後に、冥王星は小さすぎて海王星の軌道に影響を与えるには不十分であることが判明し、惑星から準惑星に格下げされます。
■ カイパーベルトの“傾き”が示す謎
冥王星、エリス、マケマケ、ハウメア、Gonggong、セドナ、クワオアー、オルクス、マーニ、サラキアの大きさの比較 出典:Lexiconその後、2005年に発見された「エリス」や、2016年に提唱された「プラネットナイン」など、さまざまな候補が議論されてきました。そして今回の仮説は、プラネットナインと惑星Yの両方が存在している可能性も示唆しているとのことです。
惑星Yの発想は、シラジ氏がカイパーベルトの形状を調べていた際に生まれました。本来、太陽系の惑星はほぼ同一平面上に軌道を描いていますが、太陽から80天文単位(地球—太陽間の距離の約80倍)を超える領域では、約15度の傾きが突然現れていることがわかったのです。恒星の接近や形成初期の残留効果では説明できず、現在も何かがそこに“存在している”必要があると考えられているのです。
■ 次世代望遠鏡が決定打に?
ベラ・C・ルービン天文台 出典:Rubin Observatory/NSF/AURA/B. Quintこの謎を解く鍵を握るのが、ベラ・C・ルービン天文台です。チリの標高2,600メートル級の山頂に建設されたこの最新望遠鏡は、世界最大のデジタルカメラを備え、3日ごとに空全体を撮影する観測を10年間にわたり実施します。
もし惑星Yがその視野に入っていれば、2〜3年以内に直接発見できる可能性もあります。惑星ナインほど大きな天体の証拠は薄いものの、より小さな天体が遠方の軌道をわずかに歪めている可能性は高いのではと考えられています。
ベラ・ルービン天文台が稼働すれば、これまで未知だった数千のカイパーベルト天体が発見される見込みです。それらが惑星Yの存在を裏付けるのか、それとも幻に終わるのか——結果は間もなく明らかになるでしょう。
皆さんは惑星Yの存在仮説についてどのように思われますか?ぜひ考察コメントお待ちしています。
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