アルバニアの地下127メートルで世界最大の地下温泉湖発見
オリンピック用プールの3.5個分の温泉湖。
数年前、チェコの洞窟探検家チームがアルバニアで巨大な地下温泉系を発見しました。当時、それが世界最大の地下温水湖につながっているとは誰も知るよしもなかったのです。
ニューロンと名付けられた温泉湖
石灰岩層から立ち上る高い蒸気の柱をたどって行くと、100メートル以上の深さがある裂け目を見つけたのです。この裂け目をアトモスと名付けました。そして底に強い温泉の流入と広大な湖を発見しました。
と、今回の発見をしたニューロン・アトモス探検隊の隊長で洞窟探検家のMarek Audy氏は、ニューロン財団の声明で述べています。ちなみに地表から127メートル下に位置するこの広大な湖は、この事業に資金提供したチェコの科学財団にちなんで「ニューロン」と名付けられました。
しかし、最初の探検では、チームには湖を正確に測定するための機器がなかったため、湖が巨大だということは判明していましたが、どれほど大きいのかを証明することができなかったのです。数年後、多くの資金と高度な科学機器を携えて再び戻ることになりました。
最初の探検の際、持参した機器で基本的な地図を作成し、すぐに何か特別なものを発見したことに気づきました。
ニューロン財団のおかげで、後に移動式LiDARスキャナーを使用することができ、洞窟と湖の区域全体を正確に測定することができました。また、水中音波探査機を使って湖の水中部分を分析するため、水文学者とも協力しています。
と探検隊のカメラマンで洞窟探検家のRichard Bouda氏はユーロニュースに語っています。
その大きさは驚異的
チームはスポンサーへの敬意を込めて湖を「ニューロン」と名付け、2回目の探検で水文地質学的な分析をおこない、湖の大きさを確認。長さ138メートル、幅42メートル、総周囲345メートルという巨大なものでした。これはプラハ国立劇場のメインホールの3倍の大きさで、オリンピックサイズのプール3.5個分の容量である8,335立方メートルの温泉水があるとのことです。
協力してくれた科学者たちのおかげで、周辺の温泉の水はこの湖から供給されていることがわかりました。この発見は、地域全体の保護と水文学のより良い理解にも貢献できると考えています。
なぜなら今日に至るまで、この地下水が地表とどのように繋がっているのか、正確には誰も分かっていなかったからです。
と、Bouda氏はラジオ・プラハ・インターナショナルに話しています。
科学的な注目が集まる地域
ニューロンは、ギリシャとアルバニアの国境地域にあるブロモナーと呼ばれる地域に位置しています。最初の声明によると、これまで2国は緊張状態にあったこの地域でのチームの探検はより重要な意味が出てくるとのこと。
実際、ニューロンの発見は「地下の生態系と地質プロセスの理解に大きな影響を与える可能性があり、これから洞窟の他の部分も調査し、この地域の地質学と生物学についてもっと学びたいと考えています」とAudy氏はナショナル・ジオグラフィックに述べています。
世界が宇宙に目を向けている中、私たちの足元、地下にもまだまだ多くの未知があるってことですね。