米半導体株相場に復調の兆しも…投資のプロが睨む「急反落のリスクとチャンス」【復調路の波乱に備える4つの投資戦略】

●米メモリー・半導体株に下値不安一服の兆しが見られる ●その復調過程で、8月には小刻みな上昇と反落、9~12月以降は大きめの波動が残存か

深い相場調整の余波

 米メモリー・半導体株の相場は、4~6月に急騰した後、7月には深い調整に陥りました(図1)。

<図1>相場波動のパターン

出所:田中泰輔リサーチ

 8月になるとようやく下値不安に一服感が出たものの、このままスッキリ失地回復とはいかないとみています。

 モデルの相場リズム解析では、上値志向を折々に見せつつも、上がれば相応に反落する波動が年内は繰り返すとの想定ですが、復調は復調です。

 AI分野は決算もディールも派手になりがちなため、にわかに復調ペースが上がる可能性も排除されません。それだけに、復調のチャンスを逃さないための構えを思案し始める頃合いと考えます。

 相場の基本力学が波動であることは図1で繰り返し説明してきました。市場参加者の間で相場のトレンドは上方向と認識されると、実際はそのトレンドより速く高く上がるのが相場の常です。

 トレンド線を移動平均とすると、実際の相場がトレンド線を上回る部分を、「その期間に売買した相場参加者の平均的な含み益に近いもの」と単純化して見ます。含み益を膨らませる投資家は、リスク判断が甘くなって過剰投資したり、好都合な相場観を声高に主張して同調者を集めたりして、さらに相場を加速させがちです。

 その相場が急騰後に反落する時は、過剰投資の売り逃げ殺到で群集なだれの様相になる傾向があります。「上がり百日、下げ三日」の格言通り、速く深い下落になるのがパターンです。

 落ちた相場がトレンド線付近に来て、ポジションの平均コスト水準の売り手にちゅうちょ、既存参加者の平均コスト買い手に値ごろ感の出動となれば、相場は新たな波動を形成します。

 しかし、下落の勢いや、悪いニュースなどをきっかけに相場がトレンド線を割り込むと、平均的な既存ポジションは含み損に転じ、それを保有する投資家は戻り売り姿勢を強めてしまいます。

 トレンド割れの深みにハマればハマるほど、投資家は自らの含み損ばかりに目を奪われる……その結果、良いニュースが出ても、相場反発が鈍るとすぐ売り逃げに走るため、「好業績でも売り」展開になりがちです。

米メモリー・半導体株は「上昇が止まれば急反落」か

 米メモリー株の代表格であるマイクロン テクノロジー(MU)株は、移動平均の20日線、50日線を割り込み、一時100日線付近まで下落しました(図2)。サンディスク(SNDK)株は100日線も割り込みました(図3)。

<図2>マイクロン株(20・50・100日移動平均、出来高、MACD)

出所:Bloomberg

<図3>サンディスク株(20・50・100日移動平均、出来高、MACD)

出所:Bloomberg

 この下落の程度を過去の相場急落と照合して、相場の収束には3~6カ月を要するという初期診断をご案内しました。

 今後の展開は、8月には下値不安一服でも、上がっても止まれば急反落する波動が小刻みに起こり、比較的大きな反発を期待できるのは、9月終盤の期末リバランス辺りからかと想定します。

 波動は小刻みから、10月決算期へ次第に大きくなり、その余波は11月、12月にも残存するというのが、当社モデルの示唆です。

不安定な相場復調に対応する四つの投資戦略

 半導体株相場は、大急落からの反発余地が大きい一方、テクニカルな相場リズムは、当面は小刻みな波動、9月終盤から年末までは大きめの波動と、不安定になりやすいとみています。

 不安定過ぎて手を出しにくく思えるかもしれませんが、AI分野は好業績や大型ディールなど極端に派手なニュースが多く、復調ペースがにわかに速まる可能性も排除されません。

 メモリー・半導体相場に復調の兆しが漸次広がる見込みの中で、こうした大きなチャンスに巡り会うかもしれません。相場対応は困難を伴うでしょうが、何が起こるか分からないのが相場。そう考えて、何らかのポジションを持つため、以下の投資戦術(の組み合わせ)でチャレンジする構えでいます。

1.メモリー・半導体株の短期スイング投資

 相場の復調路は相場の波動になりやすいとの想定から、押されたら買い、適度に上がったら利益確定売りという循環トレード的な短期スイング投資が一案です。ポジションを無理なく作ってホールドすることで、相場復調の急加速展開にも備えます。

 なお、個別銘柄の選別はかなり難しい場面ですが、米国市場には半導体、メモリー、ストレージなど関連する良好な上場投資信託(ETF)があり、その銘柄分散効果を活用するのも一考です。

2.半導体周縁銘柄の物色投資

 メモリー株は7月の急落が厳しかった分、復調路の波動も大きくなりやすいでしょう。半導体銘柄は、AI専用から、一般CPUまで幅広く、個別企業の不確実性も大きくなります。

 この状況で、メモリー・半導体株をダイレクトに狙うのではなく、半導体製造・検査などの装置や、半導体の部品・部材、光通信ケーブル、節電技術などAI周縁銘柄で、好業績見通しへの確実度が高いものを物色します。

3.ローテーション銘柄への投資

 7月のメモリー・半導体急落時は、シーソーのように、AIソフト銘柄や安心度の高い大型株としてのGAFAM、景気・バリュー系の保守的銘柄が堅調でした。

 機関投資家には、オーバーウエート気味のメモリー・半導体からローテーション対象銘柄に移す動きがみられます。

 メモリー・半導体株と上述のローテーション対象銘柄との間に、日替わりのシーソーのような浮き沈みが目立ちますが、それをこなしながら、堅実なトレンドを見せています。

4.長期投資での時間分散購入

 メモリー・半導体株を含むAI銘柄の深い調整は、長期投資家には買いの好機という見方ができます。短期波動のかく乱を達観し、惑わされず、時間分散で粛々と購入するのも、投資の王道です。

 筆者は、上記1.を軸に、2.と3.を一部組み合わせるかという構え方ですが、2.と3.の部分を日本のAI株で分散するのも一考として物色しています。

*本稿は個別銘柄を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。

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