横浜FM喜田拓也「クラブを救いたい一心」の無回転ミドル弾も史上初7連敗「全員で這い上がっていくしかない」(ゲキサカ)

[5.21 J1第13節延期分 横浜FM 1-2 神戸 日産ス]  クラブ史上ワースト6連敗でこの一戦に臨んだ横浜F・マリノスは、前半19分の失点でまたしても窮地に立たされたが、キャプテンの一振りが流れを変えた。同43分、FWヤン・マテウスのショートCKをDF加藤蓮がつなぐと、主将のMF喜田拓也がゴール右斜め前から右足一閃。豪快な無回転シュートをゴール左上隅に突き刺し、同点に追いついた。 【動画】日本代表DFがセンターサークルから6人置き去りゴール  喜田にとっては一昨年4月29日の名古屋戦(△1-1)以来2年ぶりの公式戦得点。また横浜FMとしてもAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)準々決勝でアルナスルを相手に決めたMF渡辺皓太の得点以降、帰国後の3試合はいずれもノーゴールに終わっていたため、待ちに待った4試合ぶりのゴールとなった。時勢も役者も完璧。一時は静まりかけていたスタジアムの雰囲気も一気に盛り上がっていった。 「いま自分たちが置かれている状況も相まって、(失点すると)やはりどうしても大なり小なりダメージは食らってしまうという中で、今日も先に失点してしまった。これは今日だけに限らないですけど、どうしても今の状況を変えたかったし、クラブを救いたかったし、その一心だけで(足を)振って行こうと思っていました」。誰よりもクラブを背負い続けてきた男の一振りは紛れもなく、チームに漂う沈滞ムードを打ち砕くものとなった。  しかし、その勢いをもってしても勝利にはつながらなかった。1-1で迎えた後半6分、MF扇原貴宏のFKをFW大迫勇也にヘディングで決められ、再び勝ち越しを許すと、そのまま反撃敵わず敗戦。喜田は「本当にどんな手を使ってでも勝利が欲しいし、クラブに関わる全員がもがいているなかで、どうしても救いたいという思いだったので、その結果として一つゴールというものはわかりやすいけど、でもやっぱり、どうしても結果につなげたかったという思いが出てくる」と静かに受け止めた。  それでもなお、これまでの3試合とは異なる内容に光明は見えた。この日の横浜FMは最近の試合でミスが続いた自陣からのビルドアップを封印し、ゴールキックを敵陣に蹴ったり、中盤からハイボールで相手の最終ライン裏を狙ったりと、シンプルな攻撃を志向。その結果、FW宮市亮の左サイド突破からチャンスにつながる場面がたびたび見られ、明確な攻撃の狙いを持っていることは誰の目にも明らかだった。  そうした狙いについて喜田は“結果第一”の観点から言葉を選びつつも、次のように明かした。 「確かに結果は負けました。いまは結果以外いらないこともわかっています。ただ、中でどう感じたかと聞かれると、本当にみんなのベクトルが揃っていたし、前向きでポジティブなエネルギーをものすごく感じて、今までと違うような中身、試合だったということもまた事実だったと思う。見た皆さんがどう感じるかはわからないけど、中にいた身としてはそう感じました」 「ただ、それが結果につながらなくてもいい理由には全くならない。今は結果しかいらないところはあるんですけど、その結果を出すためにどうするかを自分たちクラブで考えて、みんなで合わせて、ある意味腹を括って挑んだので、そこに対して、いま僕らは暗闇の中にいますが、光という表現が正しいかわからないですけど、前向きでポジティブなエネルギーを感じました」  クラブ史上初の7連敗という結果は重くのしかかった。ただ、チームの変化はサポーターにもしっかりと伝わっていたようで、試合後のスタンドからは前節・京都戦(●0-3)のようなブーイングではなく、拍手が巻き起こっていた。喜田はその光景を次のように振り返る。 「もう本当にありがたさしかないですね。僕らは今シーズン通して、本当に悔しい思いしかさせていなくて、嫌気がさしてもおかしくない状況ではあるけれど、彼ら、彼女らはマリノスにかけている。たとえば選手やスタッフは長くいるのが難しい世界ですけど、ファン・サポーターの方々は本当に何年、何十年とクラブを愛して支えている人が多く、そのことを感じられる出来事の一つだったと思います。それをちゃんと理解して、本当の意味で感じて、自分たちのパワーに変える作業をいまやっていかないといけない」  チーム内では京都戦から神戸戦の間、選手・スタッフだけでなく強化部門も交えたミーティングが行われていた様子。喜田は「選手・スタッフ全員が本当にもがいていて、いろんなチャレンジをしていて、苦しい状況なのは間違いない」と現状を見つめつつも、ミーティングによる効果を次のように語った。 「この前、選手・スタッフで話す場を持ったことで、みんなで細かいやり方うんぬんを合わせるというのはあるけど、ある意味みんなで一緒に腹をくくる時間だったと思っている。すぐに目の前の試合で結果こそ出なかったけど、これから変わっていくんだという意思みたいなものはこの難しい状況の中でも僕らはお互いに感じたし、(サポーターも)ああいう反応を示してくれて、苦しいながらも一緒に腹を括ってくれているということをひしひしと感じている」  だからこそ次は結果でも示していく構えだ。「彼らの存在に甘えてはいけないのも間違いない。クラブより大切は個人はないし、クラブで何が一番大切かというとファン・サポーターの皆さんだと思うので、そこは絶対に外しちゃいけない。(彼らに)何を見せられるかというと、やっぱり今は勝つ姿、戦う姿を見せないといけない」。そう前を見据えた喜田は「小さい光でもいいし、這いつくばってもいいので、全員で這い上がっていくしかないと思います」ときっぱり。次節・鹿島戦での奮起を誓った。

ゲキサカ
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: