「核持ち込み」に転じるロシアの隣国 欧州独自の「核の傘」に限界も

激動期の安保

毎日新聞 2026/8/19 18:01(最終更新 8/19 19:40) 有料記事 1598文字
フランスのラファール戦闘機=ロイター

 米国との信頼関係が揺らぐ中、欧州の核抑止は仏英両国に期待がかかる。英国は2021年に核弾頭保有数の上限を180発から260発へ増強すると発表。ただし、英国は原子力潜水艦に米国製の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を積んで運用しており、整備や更新など米国の技術に頼る部分が大きい。

 そこで、マクロン仏大統領はフランスの核戦力を欧州独自の「核の傘」に活用する「先進的抑止」の構想を打ち出した。フランスはドゴール大統領(在任1959~69年)の時代から自前の核抑止力を持つことにこだわってきた。北大西洋条約機構(NATO)には核共有の運用を協議する「核計画グループ」(NPG)が設置されているが、フランスは参加していない。

米国で第2次トランプ政権が誕生してから、「米国の拡大抑止(核の傘)」への信頼が揺らぎ始めています。日本と同じように米国と同盟関係にある欧州の国々や韓国はこの事態にどう対応しようとしているのかを探ります。<関連記事>

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 フランスは核兵器を原子力潜水艦4隻に搭載するSLBMと戦闘機に搭載する空対地ミサイルなどで運用する。先進的抑止では、フランスとドイツを中核とし、英国、ポーランド、北欧諸国などと連携して合同演習などを実施。使用の最終判断は仏大統領が下すことに変わりはないが、核搭載の仏軍機を各国に展開することも視野に入れる。ドイツのメルツ首相は7月17日、年内にフランス軍の核演習にドイツ軍が初めて参加すると明らかにした。

 ただし、限界も指摘される。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ロシアの1月時点での実戦配備済みの核弾頭数は1796発。続く米国は1770発だ。単純に核弾頭数だけで判断することはできないが、フランスに英国の核戦力を足したとしても米国と同等の核抑止力を確保できるかは見通せない。フランスは来年に大統領選を控えており、次の政権によっては先進的抑止の行方が不透明になる可能性もある。

 ポーランド科学アカデミー政治学研究所のモニカ・スス教授は「米国の核共有とどのように協調するのか、各国の脅威認識がフランスの判断に反映される保証があるのかなど課題も多い。欧州の同盟国が安心できるイニシアチブというよりも、重要な出発点として捉えられるべきだ」と指摘する。

侵攻から4年で変わった核意識

 ロシアの軍事力拡大とトランプ米政権への信頼の低下は、ロシアと国境を接する国々の安全保障に影を落としている。なかでもロシアとの国境が約1300キロに及ぶ北欧のフィンランドは、法改正をして自国への核兵器持ち込みを可能にするなど防衛力強化を推進している。

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