フランス内閣、崩壊の危機-不信任投票4日に実施予定
フランス国民議会(下院)で4日、バルニエ内閣の不信任決議案の審議・採決が行われる。マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)が左派連合「新人民戦線」と歩調を合わせ、不信任案が可決される可能性が高い。
一方、マクロン大統領は記者団に対し、内閣が不信任投票を乗り切れるとの考えを示し、任期満了まで大統領を退くつもりもないと語った。
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バルニエ首相は2日、2025年度政府予算案のうち社会保障財源法案について、議会採決を経ずに成立させる憲法の特例条項を行使すると表明。RNと新人民戦線はこれに反発し、内閣不信任決議案をそれぞれ提出した。
現内閣を支える少数連立与党には、左右両派の動きに対抗できる議席はない。通常では考えにくい組み合わせだが、極右政党が左派連合に同調することで、内閣を倒す十分な数が得られる。
内閣が倒れれば、首相の在任期間は1958年の第5共和制成立以来で最短となる。マクロン大統領が6月に国民議会の解散、総選挙実施を突然発表して以降、ルペン氏が得た政治的力をあらためて浮き彫りにする。
予算に関する不透明感と政治的駆け引きを投資家が嫌気し、フランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ債と同水準まで上昇した。
2日にはフランス10年国債のドイツ国債に対する利回り格差(スプレッド)が6月以降で最も大きい8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し、2012年以来の水準に近い89bpで終了した。
Country's bond yield premium over Germany has hit highest since 2012
Source: Bloomberg
年末の予算期限直前の政府崩壊は、フランスを未知の領域に導くことになる。内閣が倒れた後も閣僚は留任し、暫定政府として政府機関の閉鎖を回避するための緊急立法を含む業務を遂行する。緊急立法により徴税と最低限の支出は行えるようになるが、経済および金融への影響は予測困難だ。
アルマン経済・財務相は3日、政府が崩壊すれば経済全体に痛みをもたらす結果になるだろうと警告。緊急立法に頼れば、何百万もの世帯で支払う税金が増え、安全保障や農業など幾つかの優先分野で予定されていた追加支出ができなくなる恐れがあると述べた。
アルマン氏はフランス2の番組で、「金利が上昇する経済、予算のない経済、不確実性に陥った経済では、どのセクターも、どのフランス人も、どの企業も勝者にはなれない」と発言した。
4日に内閣が崩壊した場合、新たな予算案を成立させるためマクロン氏が新たな首相を任命することになる。しかし、絶対多数政党不在のハングパーラメントの現状を考えると、人選は容易でないだろう。
新首相の任命に憲法上の期限はない。マクロン氏が再び議会を解散できるのは、前回の選挙から1年が経過した来年7月以降になる。
左派はマクロン大統領に辞任を求めているが、大統領を辞めさせることは誰にもできない。次の大統領選は27年に予定されており、ルペン氏が最有力候補だ。
原題:French Lawmakers to Vote Wednesday on Toppling Government (1)、French Lawmakers to Vote Wednesday on Toppling the Government(抜粋)