Nintendo Switch海賊版サイトが一斉摘発!任天堂 vs.違法ROM業者との戦いを振り返る #エキスパートトピ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

今週、米FBIが複数のゲーム海賊版サイトを閉鎖に追い込みました。その1つである「Nsw2u」は、主にNintendo Switchのタイトルを対象としており、発売前の大作ゲームを数多く出回らせていました。5月にはEUの「海賊版ウォッチリスト」にも追加された、札付きの存在です。

今回の一件は、任天堂が進める海賊版ソフト対策の一環と見てよいでしょう。ここで一度、Nintendo Switchに関連する海賊版配布サイトや違法ハッカー集団が起訴・摘発された数々の事件を振り返ってみましょう。

ココがポイント

任天堂に訴えられたNintendo SwitchエミュレーターのYuzuが損害賠償金支払いに同意し、公開も即座に終了出典:GIGAZINE 2024/3/5(火)

Nintendo Switchハッキング集団の幹部が釈放。一生かけて19億円超の賠償金を支払うことに出典:Gadget Gate 2023/4/19(水)

任天堂、改造版Nintendo Switchを販売していた企業を提訴 事業停止を拒否したことを受けて出典:IGN Japan 2024/7/3(水)

Nintendo Switchなどの大手海賊版サイト、FBIにより次々と閉鎖される。“国際捜査”で芋づる式に鉄槌出典:AUTOMATON 2025/7/11(金)

エキスパートの補足・見解

ソニーやマイクロソフトも、海賊版に対してはコピーガードなど技術的な保護手段や訴訟を起こしています。しかし、国際的な捜査機関と連携した大規模な摘発が報じられるのは、任天堂だけと言っても過言ではありません。

とくに任天堂が海賊版業者の撲滅に力を入れている背景には、初代Switchの違法ROMコピー対策が遅れたことがあります。発売から約1年以内に、「すべての初期型Switchはソフトウェア的に修正不可能な脆弱性を抱えている」と判明したのです。

その後のモデルは物理的に修正済みですが、約1500万台はハッキング可能なまま流通し続け、長年にわたって任天堂を悩ませることになりました。

最近では、海賊版ソフトを起動できる非公式カートリッジを使用した複数のSwitch 2がオンラインサービスから永久BANされました。また、任天堂がユーザー規約を更新し、「不正に改造された本体を遠隔操作で文鎮化(起動不能)できる」と明記したことに対し、一部では「やり過ぎではないか」との声も上がっています。

とはいえ、これまで任天堂が受けた被害の深刻さを考えると、強硬な対策もやむを得ないのかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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