SUPER BEAVERと“あなた”の音楽が鳴ったZOZOマリンスタジアム公演
SUPER BEAVERが6月20、21日に千葉・ZOZOマリンスタジアムにてワンマンライブ「20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」を開催。この記事では2日目の模様をレポートする。
ここをライブハウスにしませんか?
今回のZOZOマリンスタジアム単独公演は、SUPER BEAVERの結成20周年を記念して行われたもの。2日間で約6万人を動員し、来場が叶わなかったファンもWOWOWにて行われた生放送・生配信にて、この20年のうちに発表された作品の中から厳選された珠玉の楽曲のパフォーマンスを見届けた。
定刻の18:30。スタジアムに強く照りつけていた日差しがようやく落ち着き、涼しい風が吹き抜けるZOZOマリンスタジアム。渋谷龍太(Vo)は、上杉研太(B)、柳沢亮太(G)、藤原“37才”広明(Dr)に続いてステージに颯爽と現れた。満員の客席を見渡し、深々とお辞儀をした渋谷は「やりますか」と呼びかけて「愛されていて……」と歌い始める。求められずとも3万人の観客はその続きを歌い出し、SUPER BEAVERと3万人を超えるオーディエンスによる「20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」は「東京」で幕を開けた。
「青い春」を歌ったあと、「俺たちはライブハウスから来たんですよ。ここをライブハウスにしませんか? 行こうぜ!」と、束ねていた髪を解いた渋谷は、その長い髪の毛を風になびかせながら「突破口」を熱唱。パワフルなバンドサウンドの中で、渋谷が伸びやかに歌を歌うと、メンバーとオーディエンスも一緒になって「正々堂々」「威風堂々」と繰り返し歌う。その後も4人は「あっという間に終わってしまうよ」という冒頭の歌詞が、まるでこのライブのことを歌っているかのようにも聞こえる「閃光」、一歩ずつ大地を踏みしめながら歩くようなリズムのビートが印象的な、7月2日発売の新曲「主人公」など、新旧を問わない名曲たちを惜しむことなく次々に披露していった。
これだけ仲間がいるんだぜ。最強だろ。マジで思うよ
日が落ち薄暗くなったスタジアムで渋谷は「紆余曲折、山あり谷ありで変なルートをたどってきているバンドではあるなと思っていて……」と結成からすぐにつかんだメジャー契約を2年足らずで終えても、目の前にSUPER BEAVERの音楽を聴いてくれる“あなた”がいたからここまで続けて来られたことへの感謝を述べる。「だから音楽が楽しいということがどれだけ尊いことなのか、素晴らしいことなのか、身に染みて誰よりもわかっている。『おかげさまです』という言葉が似合うのは俺たち以外にはいない、そんなふうに思っている。俺たちが誇れるのは人に恵まれていること。この一点のみ。ただこの一点がどれだけデカいか。俺はちゃんと知っている。あなたが目の前にいてくれて、一緒に音楽ができる。『SUPER BEAVERのライブやべえ』っていろんな人が言います。自分で言っちゃうけど、俺もそう思ってる。だってあなたがいるんだぜ。これは本当に照れ隠しで言っているわけではない。あなたと一緒に音楽をやっているつもりでいます。オンステージは、あなたが叶えてくれているんだよね。それはライブがカッコいいに決まってると思う。これだけ仲間がいるんだぜ。最強だろ。マジで思うよ」と熱い思いを口にした。
「音楽は衣食住には勝てない。ただ、音楽より大事だなと思える人と出会わせてくれた。俺たちにとって大事な音楽で、衣食住を超える何かになりたい。そう強く強く強く思っています」というMCから、SUPER BEAVERは音楽への真摯な思いを歌った「片想い」を演奏。歌い終えた渋谷は「狙ってた通りの時間にしっかりと日が暮れまして。いい景色ですね。いい風景。俺の目の前には好きな人しかいない。最高です」と、すっかり日が暮れて暗くなったスタジアムを見渡す。柳沢は「ひと言で言うと最高です。20年続くと思わなかったというより、何年もやるとは思わなかった。高校卒業したらふわっと終わるくらいで考えていたら、ZOZOマリンスタジアム単独公演までたどり着きました。ひとえにこうやって来てくださる、テレビで観てくださっているあなたのおかげ」と語り、上杉は「SUMMER SONIC」でZOZOマリンスタジアムで演奏していたRed Hot Chili Peppersと同じ舞台に立ち、単独で2日間公演を行う感慨を述べた。藤原も「せっかくだからホームランを打ちたい」とご機嫌な様子で、バットに見立てたタオルを振った。
あなたがいるから鳴る音楽なんだよ
花道に躍り出た渋谷は「これ、知ってる距離感だなと思って。俺たちが来たライブハウスの距離感だなって」と、大きな会場でもライブハウスと変わらない熱気を感じながら、「20年間こうやってやってきたわけ。これが俺たちの戦い方です」と「正攻法」で後半戦をスタートさせる。レーザーが飛び交う中で観客がジャンプで会場を揺らすさまはまさにライブハウスそのもの。ステージから吹き上がる炎も相まって会場の熱気はさらに上昇していき、続く「秘密」「東京流星群」では、観客1人ひとりの大熱唱が1つになり、スタジアムいっぱいにこだました。
「俺がいるから、私がいるからってあなたにしっかり思ってもらうまで全力でやるよ。あなたがいるから鳴る音楽なんだよ。だから俺は、あなたがいてこその音楽だからSUPER BEAVERが好きなの。そう思わせてくれてます。ありがとうございます」。渋谷がそう語ってから始まったのは、映画「東京リベンジャーズ」の主題歌として大ヒットした「名前を呼ぶよ」。SUPER BEAVERと、SUPER BEAVERを愛する1人ひとりとの絆を深く感じさせるこの曲を力強く演奏すると、3万人のオーディエンスは熱い合唱で彼らの音楽に応えた。
花火のもとで歌う「アイラヴユー」、そして再会を約束
映画「金子差入店」の主題歌として書き下ろした新曲「まなざし」の余韻が残る中、会場はブルーのレーザーとスモークによって幻想的な光景に包まれる。そしてSUPER BEAVERはメジャーレーベルとの契約を終えて再びインディーズになった2013年にリリースした「それでも世界が目を覚ますなら」を披露。まるで当時からここで鳴らされることが予定されていたかのように、スタジアムライブにぴったりなダイナミックな演奏と渋谷の聴くものの胸を打つ歌声に、オーディエンスはじっくりと耳を傾け、演奏が終わると盛大な拍手をステージに送った。
「今日の音楽はまぎれもなくあなたが作ったものです」。そう断言した渋谷は「ここで今日一番の拍手が起きなかったら俺たちのライブは失敗だ。俺たちにはお前が必要だと言いに来たんだよここに!」とこの日一番の拍手を巻き起こす。そして「超カッコいいよ。またやろうぜ」と呼びかけ、「小さな革命」を披露。オーディエンスも熱唱するサビに突入すると、「あなたが主役だ」と言わんばかりに客席がパッと明るくなり、「小さな革命を」という3万人の熱唱が空高く突き抜けていった。
無数の花火がZOZOマリンスタジアムの上空を彩る中、「アイラヴユー」でラストスパートをかけたSUPER BEAVER。ラストを人と人との絆を歌った爽快なロックチューン「切望」で締めくくり、渋谷が「最高の時間を作ってくれてありがとうございます。俺たちがレペゼン・ジャパニーズ・ポップ・ミュージック・フロム・トーキョー・ジャパン、SUPER BEAVERでした。いや、俺たち“で”、SUPER BEAVER。ありがとうございました」と客席を指差すと、再び大輪の花火が夜空に咲き、熱気が冷めやらぬ中、公演は締めくくられた。
最後にスクリーンでは2026年1月から始まるアリーナツアー「都会のラクダ TOUR 2026 ~ ラクダトゥインクルー ~」の日程が告知された。なおApple MusicとSpotifyでは、ZOZOマリンスタジアム公演のセットリストのプレイリストが公開されている。
セットリスト
「20th Anniversary 都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」2025年6月21日 ZOZOマリンスタジアム
01. 東京02. 青い春03. 突破口04. 美しい日05. 閃光06. ひたむき07. 主人公08. 人として09. 片想い10. 正攻法11. 秘密12. 東京流星群13. 名前を呼ぶよ14. まなざし15. それでも世界が目を覚ますなら16. 小さな革命17. アイラヴユー
18. 切望