NY市場サマリー(28日)ドル全面安、S&Pほぼ横ばい 利回り低下

<為替> ドルが全面安。米関税措置を巡る一段の情報が待たれる中、週内に発表される一連の米経済指標に注目が集まる。

今週は第1・四半期の国内総生産(GDP)や個人消費支出(PCE)価格指数、雇用統計などが発表され、トランプ大統領の打ち出す関税が実体経済に影響を及ぼしているかどうかが示される可能性がある。

マネーUSAのトレーディングディレクター、フアン・ペレス氏は「米国が単独の行動に出て、世界最大の経済大国としての影響力を使おうとする中、米経済が良好に推移するという信頼が揺らいでいることが引き続き主要な問題だ」と述べた。

終盤の取引で、ドル/円は1.1%安の142.10円。1日の下げとしては今月10日以来最大となる。

ユーロ/ドルは0.5%高の1.1419ドル。

ドル/スイスフランは0.7%安の0.8205フラン。

関税や米連邦準備理事会(FRB)議長解任の可能性などを巡るトランプ大統領の発言を受け、米資産への信頼が揺らいだことで、ドルは月間で昨年7月以来の大幅な下げを記録する勢いとなっている。一方、ユーロ/ドルは月間で約15年ぶりの大幅な上げを記録する見通し。

前出のペレス氏は、週内に発表される「指標によって相場が動く可能性はあるが、足元は貿易面での進展について何らかの手がかりを示すニュースに左右されるだろう」と述べた。

ベッセント米財務長官は28日、日本を含む主要貿易相手国との交渉が「非常に好調」に進んでおり、関税回避に向けた「非常に良い」提案がなされていると述べた。最初の貿易合意はインドとの間で締結される可能性が高いとの見通しも示した。 もっと見る
スペインとポルトガルで28日、大規模な停電が発生し、各地で交通機関がまひするなど大きな影響が出る中、ユーロ/ポンドは0.4%安の85.03ペンス。 もっと見る
米ドル/カナダドルは0.1%安の1.3836カナダドル。カナダでは28日に総選挙が実施される。 もっと見る

日銀が30日から2日間開く金融政策決定会合にも注目が集まる。金融政策は今回、現状を維持するとの見方が市場関係者の間では多い。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが3週間ぶりの低水準近辺まで低下した。月初以降の利回り上昇を半分程度の巻き戻した。新たな関税に関するニュースが少なかったことで、投資家は5月2日の雇用統計を始めとする今後の経済指標を待つ姿勢を取っている。

この数週間は高いボラティリティーを示していたが、この日の取引は比較的落ち着いていた。

30日には月末に加え、第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値と個人消費支出(PCE)価格指数の発表が控えており、トレーダーは不必要なリスクを避けているもよう。

TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の米国金利戦略責任者、ゲナディ・ゴールドバーグ氏は「全般的に、データは完全な崩壊を示す可能性は低いが、成長が減速しているという投資家の不安を引き続きあおるだろう」と述べた。

指標となる米10年債利回りは4月8日以来の低水準まで低下。終盤の取引では3.9ベーシスポイント(bp)低下の4.227%となった。

米連邦準備理事会(FRB)は来週、米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが6月から利下げを開始し、年内に少なくとも4回、各25bpの利下げを行うと見込んでいる。

30年債利回りは3.5bp低下して4.703%となった。

2年債と10年債の利回り格差は52.7bpとなり、前営業日から約4.5bp拡大した。

2年債利回りは6.3bp低下して3.699%となり、4月9日以来の低水準を記録した。

米金融・債券市場:

<株式> S&P500種株価指数が不安定な動きの後、ほぼ横ばいで取引を終えた。投資家が主要経済指標や米大企業の決算など材料待ちとなる中、メガキャップ(大型株)の下落が重しとなった。

半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは2.1%安、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabは0.7%安と、S&P500指数の主な足かせとなった。ナスダックの下落にも寄与した。
いわゆる「マグニフィセント・セブン」のうち、アマゾン、アップル(AAPL.O), opens new tab、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tab、マイクロソフト (MSFT.O), opens new tabが週内に四半期決算を発表する予定だ。アップルは0.4%上昇、メタは0.5%上昇し、エヌビディアとアマゾンの下落を相殺した。

今週はS&P500構成企業のうち180社が決算を発表する予定で、投資家はトランプ米大統領の新たな関税が将来の利益にどう影響するかを注視することになるだろう。

シカゴのクレセット・キャピタルのチーフ・インベストメント・オフィサー、ジャック・アブリン氏は、「今週は『マグ7』のうち4社の決算発表があり、非常に重要な週となる」と指摘した。

LSEGのデータによれば、S&P500企業の第1・四半期収益は前年同期比10.9%増と予想されている。ただ多くの企業が米国の関税政策による不確実性を警告しており、中には予想を下方修正したり、完全に撤回したりする企業もある。

ボーイング(BA.N), opens new tabは2.4%上昇し、ダウ平均株価はプラス圏を維持した。バーンスタインが株価格付けと目標価格を引き上げたことが好感された。
スピリット・エアロシステムズ(SPR.N), opens new tabは2.6%上昇。エアバス(AIR.PA), opens new tabが同社の工場の一部を買収することで合意した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2対1の比率で上回った。ナスダックでも1.27対1の比率で値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回った。

米取引所の合算出来高は170億5000万株。直近20営業日の平均である192億6000万株を下回った。

米国株式市場:

<金先物> 米関税交渉や経済指標の行方に注目が集まる中、買い戻しが入り反発した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前週末比49.30ドル(1.49%)高の1オ ンス=3347.70ドル。

NY貴金属:

<米原油先物> 需要先行きに対する警戒感がくすぶり、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前週末比0.97ドル(1.54%)安の1バレル=62.05ドルだった。

NYMEXエネルギー:

LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります

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