ロシア軍がウクライナに623発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、奥の西部を狙われたので高い迎撃率で阻止(JSF)
2025年7月12日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計623飛来(ドローン597機+ミサイル26発)という大規模攻撃でした。一度に500飛来を超えるのは7月は既に3回目です。6月は500飛来を超えたのは1回だけでした。
最近の長距離ドローンは急激な増大傾向にある上に毎日飛来していますが、その半分以上は安価な囮無人機です。一方で巡航ミサイルの纏まった使用は月に数回の頻度で、発射数も開戦初期のミサイル攻撃が最も激しかった時期に比べると減少傾向にあります。
2025年7月12日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部
- Kh-101巡航ミサイル×26飛来25撃墜
- 敵性無人機×597飛来319撃墜258未到達
※7月10日からウクライナ空軍司令部は迎撃戦闘報告の発表形式を再び変更し、「排除数(撃墜数+未到達数)」という表現が無くなって5月18日以前の形式に戻った。(説明記事)
※7月12日の説明絵は10日と11日からも以下の小変更があるので注意。
変更前 : (близько ???) : 約???
変更後 : (??? БПЛА) : ???無人機
※???は数字が入る部分
※詳しい説明はないがシャヘド自爆無人機の数を指す。ただしドローン総飛来数から未到達数を囮無人機と見做して引き算しただけであり、本当に自爆無人機の数かどうかは不正確。何故なら撃墜した中にも囮無人機は混じっており、未到達の中にも自爆無人機は混じっているため。
変更前 : * ??? БПЛА - локаційно втрачені : ???無人機 - 位置消失
変更後 : * ??? БПЛА-імітаторів - локаційно втрачені :???模倣無人機 - 位置消失
※位置消失(локаційно втрачені)とは未到達のこと。ほとんどは囮無人機の燃料が切れて勝手に墜落してレーダーから消えたケースになるが、一部には電子戦で迷走して墜落した機体もあり、これには自爆無人機も含まれることが有り得る。
※模倣無人機(БПЛА-імітаторів)とは囮無人機のこと。つまり宇空軍は7月12日から未到達は囮無人機であると公言するようになった。しかし上述のように未到達=囮無人機ではない。撃墜した中にも囮無人機が混じっているならば、未到達数よりも囮無人機は確実に多くなる。
2025年7月12日の迎撃率94%(未到達は除いて計算)
- Kh-101巡航ミサイル×26飛来25撃墜 ※迎撃率96%
- 敵性無人機×597飛来319撃墜258未到達 ※迎撃率94%
非常に高い迎撃率で、総飛来数でも迎撃率94%です。ウクライナ防空は迎撃戦闘としては限界に近い善戦を行っています。しかし飛来数があまりに多いので、自爆無人機×20機と巡航ミサイル×1発の突破を出してしまっています。
攻撃は主にウクライナ西部の都市に行われました。後方の奥を狙われると速度の遅いドローンは到達までに時間が掛かり、機動射撃班(ピックアップトラックに軽対空火器を載せたもの)を再配置して待ち構える時間的余裕を得やすいので迎撃率が高くなるという、これまでの傾向と同様の迎撃戦闘結果です。
※攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/monitorwarr/30144
- 赤色:Kh-101巡航ミサイル(戦略爆撃機)
- 橙色:敵性無人機(地上発射機)
最近のKh-101巡航ミサイルの使用記録
- 7月12日:26発
- 7月10日:6発
- 6月17日:16発
- 6月09日:10発
- 6月06日:36発
- 5月26日:9発
- 5月25日:55発 ※カリブル巡航ミサイルと混じった数字
- 4月24日:37発
- 4月06日:9発
- 3月07日:35発
※Kh-101以外のミサイルは一度に二桁の数を発射することは稀。大規模ミサイル攻撃の主力は現状ではKh-101になる。
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