【日本市況】円が下落、緩和的な金融環境維持と日銀総裁-債券上昇
25日の日本市場では円相場が1ドル=157円台前半に下落。日本銀行の植田和男総裁が午後の講演で、先週の会見に続き追加利上げに慎重なハト派姿勢を示したと受け止められた。債券は上昇。株式も上昇に転じて終えた。
植田総裁は、金融緩和調整のタイミングやペースは今後の経済・物価・金融情勢次第だと説明した。米国の政策運営が日本の経済・物価に与える影響もよく見ていく必要があるとも述べた。アジアの主要市場が休場で流動性が低い中、円は前日終値を挟んだ小動きが続いていたが、総裁発言を受けてこの日の安値を更新した。
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みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストはリポートで、講演は19日の内容を踏襲したものが中心だったと指摘。市場の一部で会合後に進んだ円安をけん制するメッセージが強まることへの期待があったが、そうしたコミュニケーションも特段取られなかったとした。
国内為替・債券・株式相場の動き- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%安の157円32銭-午後3時48分現在
- 長期国債先物3月物の終値は前日比4銭高の142円23銭
- 新発10年債利回りは0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.06%
- 東証株価指数(TOPIX)の終値は0.2%高の2733.86
- 日経平均株価は0.2%高の3万9130円43銭
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台前半で推移。植田総裁が講演で、トランプ次期米政権の影響や春闘の見極めを指摘したことを受けて円売りが優勢となった。
ドイツ証券の小川和宏外国為替営業部ディレクターは植田総裁の講演について、金融政策決定会合後の会見とあまり変わらないと指摘。「引き続きハト派という印象で、相場は小幅に円安に振れている」と述べた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、植田総裁は円安にもかかわらずハト派姿勢が変わらないため、為替を懸念していないと受け止められてもおかしくないとみる。「クリスマス明けからの円売り再開で、年末までに160円を試す可能性は十分ある」とし、介入警戒感も強まりそうだと語った。
債券
債券相場は上昇。植田日銀総裁の講演はハト派だった19日の会見と大きく変わっていないとの見方から買われた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、植田総裁は米経済を巡る不確実性が大きいことや、目先の大きなポイントとして春闘を挙げていることから、「利上げは来年1月は見送り、早くても3月以降との見方を変える必要ない」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.575% 0.715% 1.060% 1.850% 2.240% 2.600% 前日比 -0.5bp -0.5bp -0.5bp ‐0.5bp ‐1.0bp ‐0.5bp株式
東京株式相場は上昇。自動車株が買われて指数を押し上げた。
トヨタ自動車が4.6%値上がりしてTOPIXの上昇に最も寄与した。株主資本利益率(ROE)の目標数値を倍増となる20%に引き上げるとの報道を受けて買いが優勢になった。日産自動車やホンダも上げた。
年末の休暇時期で売買が低調となる中、銀行株などに売りが出て指数は軟調に推移する場面が多かった。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。