iPhone 16eとiPhone16に搭載された「A18チップ」の大きな違い
2月20日、Appleは「iPhone 16e」を発表。
99,800円という価格は新iPhoneにしては安い価格に大きな注目が集まっていますが、MagSafe非対応なうえに、結局Appleはホームボタンもなくしました。
しかし、16eのプロセッサ「A18」に関して面白い議論があります。
一見、iPhone 16やiPhone 16 Plusと同じチップに思えるので、iPhone 16eは2万円以上安いのに、高価なiPhone 16シリーズと同じ性能のA18を搭載しているように思えます。
しかし、実はiPhone 16eに搭載されているA18は同じものではなく「選別された」ものです。
「選別された」チップとは何か?
「選別された」チップというのは、Apple製品に限ったものではありません。
すべてのコンピューターチップメーカーが自社のチップを選別している可能性があるんです。
この「選別」は製造工程に関係しています。
チップは非常に複雑な製品なので、すべてがまったく同じように製造されるわけではありません。見本は品質保証のテストが行われ、基準を満たしていないチップと満たしているチップに分けられます。
基準を満たしていないチップは、メーカーが求める性能レベルに達していないので「選別」され、高性能チップとしては使用されません。
しかし「選別された」チップは、まったく使用されないわけではありません。
むしろ「選別された」チップは、中位または下位モデルのチップとして使われるのもあると言えるでしょう。
メーカーは「選別された」チップの性能を調整するために、特定のコアを無効にすることがあるんです。
それでも、この制限の範囲では完全に機能するチップとなっています。
たとえば、Intelのチップも「選別された」ものがあり、Core i5、i7、i9などの異なる性能バージョンがあるのはこのためです。
Appleも同様で、iPad mini 7では「選別された」A17 Proのチップが使われています。今回も、AppleはiPhone 16eに「選別された」A18チップを使っているのです。
「選別された」A18のiPhone 16eでの使われ方
Appleは、そもそもiPhone 16シリーズに搭載するために、A18チップを製造しています。
しかし、品質テストで一定の基準を満たしていないA18チップの一部は、iPhone 16やiPhone 16 Plusには使用されず除外されます。
一方でAppleには、フラッグシップモデルよりも安価で販売したい、新しいiPhoneがあります。
コストを削減するためにプレミアム機能を外しつつも、新しいiPhoneの購入者には魅力的なオプションを提供しなければなりません。
そこで「選別された」A18チップを活用するというわけです。
iPhone 16eは「iPhone 16や16 Plusと同じA18チップが使われているものの、性能が同じではないとわかっている」ので、そこまでアピールされていません。
Appleは、パフォーマンスを調整するためにGPUコアの1つを無効化しています。
iPhone 16eのCPUは、iPhone 16や16 Plusと同じく6コアで(高性能コア2つ、省電力コア4つ)、NPUもすべてのデバイスと同じ16コアです。
しかしiPhone 16や16 PlusのGPUがが5コアなのに対し、iPhone 16eのGPUは4コアしかありません。
これは「選別された」チップだからです。
「選別された」A18チップが、iPhone 16や16 PlusのA18チップに比べて具体的にどのように違うのかは、iPhone 16eの実機レビューが出るまで分かりません。
しかし、違いはごくわずかだと思われます。
CPUとNPUの性能は同じで、GPUもiPhone 16eには4つ搭載されているので、ほとんどタスクで十分高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
しかし、AAAゲームのようなグラフィックの負荷が高いアプリでは違いが出る可能性があります。
iPhone 16はGPUコアが多いので、iPhone 16eよりもオススメされるでしょうし、デバイスの寿命も長くなる可能性が高いです。
ソフトウェアが進化するにつれ、さらに負荷が増えれば、GPUコアの多いiPhone 16の方がより長い時間、スムーズに動作し続けることができます。
とはいえ、GPUコアが1つ多いだけなので、おそらくそこまで大きな違いを感じることはなさそうです。
レビュアーがベンチマークを実施すれば数字がわかると思いますが、Appleの狙いは、ひどく劣ったiPhoneを提供することではなく、コスト削減が目的ではないかと思います。