健康:片頭痛治療は発症前に症状を緩和する
Research Press Release
Nature Medicine
2025年5月13日
片頭痛の治療薬であるユブロゲパント(ubrogepant)は、片頭痛が起こる前の数時間に起こる一般的な頭痛以外の症状も軽減することが、大規模な第3相臨床試験の結果から明らかにする論文が、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される。この結果は、ユブロゲパントが片頭痛の前に起こる症状に対する初めての急性治療薬になる可能性を示唆している。
片頭痛の前には、光や音に対する過敏症、吐き気、首の痛み、およびめまいなどの前兆や前駆症状(早期発症症状とも呼ばれる)が現れることがある。片頭痛の研究のほとんどは、頭痛の治療に重点を置いてきたが、片頭痛患者にとってかなりの機能障害を引き起こす可能性があり、数時間持続することも多い前駆症状を緩和する有効性を示した治療法はない。ユブロゲパントは、痛みの伝達を司るニューロン上のCGRP(Calcitonin Gene-Related Peptide;カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体を遮断する薬剤であるが、片頭痛の前駆症状を治療する可能性は不明であった。
Peter Goadsbyら(キングス・カレッジ・ロンドン〔英国〕)は、片頭痛の既往歴が1年以上ある18–75歳の438人を対象に、前駆症状の治療薬としてのユブロゲパントの有効性を分析した。参加者は、二重盲検試験のために2群に分けられ、1–6時間以内に頭痛が起こると確信できる最初の前駆症状が始まった時点で、ユブロゲパントまたはプラセボを100ミリグラム服用した。少なくとも7日後の2回目の前駆症状時には、参加者は逆の治療薬(ユブロゲパントまたはプラセボ)を服用した。Goadsbyらは、参加者がユブロゲパントを投与された場合、プラセボ投与群と比較して、投与1時間後には集中力が改善し、投与2時間後には光に対する感受性が低下し、3時間後には疲労感と頸部痛が軽減したと自己申告したことを明らかにした。ユブロゲパント投与群では、治療後4時間から24時間の間に、めまいと音に対する過敏症状も減少した。
これらの所見は、ユブロゲパントが一般的な前駆症状に対して有効な治療法である可能性を示唆しており、早ければ投与後1時間で改善がみられるかもしれない。しかし、前駆症状に対する急性期治療の効果を評価するために特別にデザインされた追加研究が必要である。
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- Open access
- Published: 12 May 2025
Goadsby, P.J., Ailani, J., Dodick, D.W. et al. Ubrogepant for the treatment of migraine prodromal symptoms: an exploratory analysis from the randomized phase 3 PRODROME trial. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03679-7
doi:10.1038/s41591-025-03679-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。