ドイツは欧州最強の軍を構築する、メルツ首相が約束-志願兵制を創設
- メルツ氏、首相就任後初の議会演説-軍変革が政府の最優先課題
- 今年以降の防衛支出は前年比15%余り増額、年約10兆円-関係者
ドイツのメルツ首相は、増大するロシアの脅威に対処できるよう通常戦力として欧州最強の軍隊へと軍を変革することが政府の最優先課題だと語った。
メルツ氏は14日、首相就任後初の議会演説を行い、自らが率いる連立政権は「ドイツ軍が必要とする全ての金融資源を提供する」と明言。「欧州で最も人口が多く、経済的に最も強い国として、それが適切だ」と説明した。
「友好国やパートナー国もドイツにそれを期待している。実際、それが要求されているに等しい」と続け、兵員数を増加させるため「新しく魅力的な志願兵制度」を創設し、ドイツの安全保障に対する責任を担うよう若者に応募を呼び掛けると述べた。
事情に詳しい関係者によると、ドイツ国防省の年間予算は今年以降、600億ユーロ(約9兆8500億円)以上へと増額される見通し。関係者は部外秘の情報だとして匿名を要請した。
昨年の通常防衛予算は520億ユーロだったため、15%余り増額されることになる。国内総生産(GDP)比で2%以上とする北大西洋条約機構(NATO)の防衛支出目標を達成するため、ショルツ前首相が創設した1000億ユーロ相当の基金から、政府は200億ユーロを国防予算に回した。
ドイツ軍の兵士の数は大きく不足し、対応は喫緊の課題だ。軍高官は今年2月のブルームバーグとのインタビューで、現在の約26万人に少なくともあと10万人は必要だとし、完全に十分な兵力となるのは46万人規模に達した時だろうとの認識を示した。
ドイツでは義務兵役があったが、メルケル政権下の2011年に停止された。ピストリウス国防相は、対象年齢の男性に自発的に兵役に就く意思があるかを申告させる方式を支持している。
メルツ首相はまた、ウクライナに対するドイツの支持をあらためて表明し、「まさに欧州大陸全体の平和的秩序が懸かっている」と訴えた。
原題:Merz Commits Germany to Building Europe’s Strongest Military (1)(抜粋)