NY市場サマリー(21日)ダウ493ドル高、円急伸 利回り3週間ぶり低水準

<為替> 日本当局が円安を食い止めるため口先介入を強化していることを背景に、円が対ドルで上昇した。

終盤の取引で円は対ドルで0.63%高の156.549円。前日の取引では約10カ月ぶりの安値となる157.90円を付けていたが、 片山さつき財務相が21日の閣議後に報道陣に対し、過度な為替変動や無秩序な動きには必要に応じて適切に対応するとし、為替介入に関しても「当然、考えられる」と述べたことを受け、円は急伸。片山財務相が介入の選択肢に言及したのは就任後、初めてだった。

円は対ユーロでこのところ1999年の単一通貨ユーロ導入以来の安値近辺で推移していたが、この日の取引では円は対ユーロで0.83%高の180.01円と、持ち直した。

米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を巡っては、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が現行政策は足元で「緩やかに引き締め的」との見方を示し、FRBはインフレ目標をリスクにさらすことなく「近い将来」に利下げを実施できると発言。ニューヨーク連銀総裁はFRBが政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)で常に投票権を持っているため、ウィリアムズ氏の発言を受け12月9─10日の次回FOMCで追加利下げが決定されるとの観測が急速に高まった。

CMEフェドウオッチによると、FRBが12月の会合で利下げを決定する確率は71%。前日の39%から大きく上昇した。

終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は100.19。一時は5月下旬以来の高水準を付けていた。

ユーロ/ドルは0.16%安の1.1511ドル。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは3.52%安の8万4146.2ドル。一時は7カ月ぶりの安値を付けた。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが3週間ぶりの低水準に低下した。労働市場の軟化を背景に、米連邦準備理事会(FRB)が来月会合で利下げに踏み切るとの見方が高まった。

20日公表の9月の米雇用統計によると雇用者数は前月から増加し、エコノミスト予想を大幅に上回ったものの、失業率は4.4%と2021年10月以来約4年ぶりの高水準に達した。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁がこの日、FRBの金融政策は足元で「緩やかに引き締め的」との見方を示し、FRBはインフレ目標をリスクにさらすことなく「近い将来」に利下げを実施できると発言したことも利回り低下要因となった。

CMEのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込む12月のFOMCでの利下げ確率は70%と、20日の39%から上昇した。

この日はFRB当局者の発言が相次ぎ、ミランFRB理事が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での自身の投票が利下げにつながるのであれば、25ベーシスポイント(bp)の利下げに賛成票を投じるとの意向を明らかにしたほか、ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、FRBの金融政策は適切な位置にあるとし、12月の追加利下げの必要性について懐疑的な見解を示した。

2年債利回りは3.8bp低下の3.52%。

10年債利回りは3.7bp低下の4.067%。

2年債と10年債の利回り格差は55.5bpとなった。

12月会合での金利決定に関する手掛かりを得ようと、市場でインフレ動向の行方に注目が集まる中、米労働省労働統計局(BLS)は10月の消費者物価指数(CPI)の発表を取りやめると明らかにした。ただ、入手可能なデータについては、12月18日に発表予定の11月分のCPIと合わせて公表するとした。

米金融・債券市場:

<株式> 米連邦準備理事会(FRB)による12月会合での利下げ期待の高まりを背景に、大幅上昇して取引を終えた。一方、テック企業の割高なバリュエーションを巡る懸念から、主要株価3指数は週間では軒並み下落した。 エヌビディア(NVDA.O), opens new tabの株価はトランプ米政権がエヌビディア製の人工知能(AI)向け半導体「H200」の中国への販売を認可するかどうかを検討しているとの報を受け、午後の取引で一時大幅に上げた。ただ、終盤にかけて上げ幅を縮め、終値は1%安となった。週間では5.9%安。 ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁がFRBはインフレ目標をリスクにさらすことなく「近い将来」に利下げを実施できると発言したことも、市場を支えた。 CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での25ベーシスポイント(bp)の利下げ確率は約72%と、前日の39.1%から上昇した。 S&P総合500種(.SPX), opens new tabの主要11業種全てが上昇した。 個別銘柄では、米製薬大手イーライリリー(LLY.N), opens new tabは1.6%高。同社株価はこの日、一時過去最高値を更新し、時価総額が1兆ドル台に乗せた。 米グーグルの持ち株会社アルファベットは3.5%、アップル(AAPL.O), opens new tabは2%、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tabは0.9%、それぞれ上げた。 ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.1対1の比率で上回った。ナスダックでは値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.75対1の比率で上回った。 米取引所の合算出来高は210億6000万株。直近20営業日の平均は200億3000万株。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期追加利下げ観測が再燃する中、反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比19.50ドル(0.48%)高の1オンス=4079.50ドル。週間では14.70ドル(0.36%)下落した。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ウクライナ停戦へ向けた交渉が続く中、下落した。中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTIの1月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.94ドル(1.59%)安の1バレル=58.06ドル。1カ月ぶりの安値に沈んだ。2月物は0.88ドル安の57.81ドルだった。

NYMEXエネルギー:

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