かわいい顔にだまされないで。Metaの「AI版たまごっち」は持ち歩くスパイウェアかも

Metaはある意味ブレないし期待を裏切らないな。

しあわせでいるために、人は自分にうそをつきます。でも、私たちは今かなりヤバい状況にあります。「ちびキャラウォッシュ」でイメージを美化しようとしているMeta(メタ)のワナにはまってしまいそうなんです。

かわいいキャラクターでイメージ刷新?

Metaといえば、個人データの収集と悪用をすることにかけて、もっとも有名で積極的と見られる企業。が、そのMetaがイメージのプチ復活を果たそうとしています。きっかけは、同社のAIが突然そんなにポンコツじゃなくなったこと。

Metaの主力AIアプリである「Muse」は、今月初めに「パーソナルAIエージェント」が発表されて以来、数週間にわたってApp Storeのランキング上位にとどまっています。

このアプリはテック業界の手だれたちにも絶賛されているんです。Metaが今年買収したAIエージェントであるOpenClaw(オープンクロー)の見た目を変えたものが気に入られたようです。

そして、Meta Connect(Metaの年次イベント)での発表を機に、Metaを再び全面的に受け入れる空気感が生まれました。その歓迎の輪にすっぽり収まったのが、AIマスコットと思われる「Jolly(ジョリー)」です。ラブブ(LABUBU)の人形にそっくりな雰囲気で、著作権侵害で訴えられないギリギリのラインを攻めているように見えます。

このマスコットの激推しプロジェクトをやっているのは、MetaのチーフAIオフィサーであるアレクサンドル・ワン氏。同氏はここ数日、この天使のようなほっぺをした小さなモンスターのミームを次々と投稿しています。なぜか性的なものまであります。意味がわかりません。

“so which of you is better at tennis?” pic.twitter.com/lJrHZsBCLV

— Alexandr Wang (@alexandr_wang) September 24, 2026

ah my pop crave debut

muse is finally an a-lister https://t.co/edAEqmGKLl pic.twitter.com/HAbSL3VOsH

— Alexandr Wang (@alexandr_wang) September 24, 2026

AI版「たまごっち」まで用意

Jollyをバズらせるのがワン氏のこだわりなのだとしたら、すでに地ならしは終わってるかも。

Meta Connectのステージ上で、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOがスティーブ・ジョブズばりの「One last thing(Appleのイベントでは「One more thing」が定番)」を繰り出して、「Muse Charm」という新しいガジェットをお披露目しました。

このガジェットは身に着けて持ち歩けるペンダントで、持ち主ごとにカスタマイズされたJollyが住んでいます。AIを搭載したたまごっちのように遊べるわけです。

Metaが世に出したもっともくだらないAIデバイスだとMuse Charmを笑い飛ばしたくなるかもしれません。でも、この製品はおそらくもっとも陰湿で危険なデバイスになるおそれがあります。

Meta Museのおかげで、数カ月前には死んだも同然と思われていたMetaが再びスポットライトを浴びる場所に返り咲いてきました。

ただ、AIエージェントの現在地を見ると、自由に使えるお金をたっぷり持っている人向けのツールでしかありません。「パーソナルアシスタント」が日常生活で役立つ場面はあります。うっかり忘れそうな予定をカレンダーに登録してくれるとかね。

でも、パーソナルアシスタントの主な目的は、ユーザーの代わりに買い物をすること。ところが、大半の人は余分なお金をあまり持っていませんし、自分で商品を見比べるのが好きなんです。

見た目がかわいいトロイの木馬

だからこそ、このたまごっち風のおもちゃはまさに「トロイの木馬」なんです。その辺の誰かがMuse Charmで遊んでいる様子は容易に想像できます。でも、その相手は、見た目がかわいい悪意あふれるアバターです。デザインは子ども向けっぽい感じですが、多くの大人にも受け入れられるでしょう。かつてのたまごっちのように。

Muse Charmは、常時オンのAIを身に着けて、自分の声を聞き取り、その過程で何を収集されるのかわからないという状況に対する人々の感覚を鈍らせる「汚い仕事」を果たすことになるでしょう。

Metaはすでに、スマートグラスで同じやり方を成功させています。スマートグラスは依然として多くの人に嫌われているようですが、一方で販売数は900万個を超えています。データを収集するカメラを日常のアクセサリーに紛れ込ませちゃっています。

どんなにかわいくても、相手はMeta

Meta Charmのキャラクターが放つ、その名の通り「魅力(チャーム)」に屈しつつある人たちもいます。でも、愛嬌たっぷりのスパイウェアに屈してはいけません。相手は、あのMetaです。

同社は、絶え間なく気分を落ち込ませるアルゴリズムによって、子どもたちに甚大な被害を与え、社会に害を及ぼす存在と認定された企業です。ユーザーのプライバシーを際限なく侵害し、無尽蔵の資金を背景に罰金を払ってすませてきただけの企業でもあります。さらに、詐欺行為を自社の重要な収益源にしていたとも指摘されています。

同社がどれくらい社会に悪影響を与えてきたかを描いた映画が今年公開される予定です。映画の出来がどんな感じなのかはわかりませんけど。

細かい事情を知っているかどうかはともかくとして、Metaの問題は現時点でザックリと広く知れ渡っています。にもかかわらず、AIが生成した見た目は親しみやすくて中身はグロいマスコットが、まるでジェダイのマインドトリックを使って一部の人たちを再びデータ収集の底なし沼に自ら飛び込ませようとしているみたいです。

本当の狙いは、忘れてもらうこと

Metaは、Museのエージェントにしても、Charmのデジタルペットにしても、人々に本気で使ってもらう必要すらないのかもしれません。同社としては、人々がMuseに登録して、しばらくの間なんとなく遊んだら、使ったことすら忘れてくれればいいんです。必要なのは、アクセス権限を取り消さないでいてくれることだけ。

Metaは、人々が自分の情報へのアクセス権限を放棄するのをどこまで許容するのか、その限界ラインを再び模索しています。

ワナにはまってはいけません。Jollyがあなたの財布に手を突っ込んでいる姿を想像してみてください。必要なら、忘れないように警告として腕にタトゥーを彫るのもいいかもしれません。

ただとにかく、何がなんでも、地球上で最大のデータ収集企業の看板を務めるモフモフしたマスコットを絶対に信用しないでください。

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