ピーダスンの勢い止まらず マリアローザで難関スプリント制し今大会3勝目

最大10%の急坂を越えるジロ・デ・イタリア第5ステージで、マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がスプリント勝利。マリアローザを着用するピーダスンが圧巻のチームワークから、区間3勝目を手に入れた。マリアローザ纏うマッズ・ピーダスン photo:RCS Sportマリアアッズーラを着るフォルトゥナート photo:RCS Sport出走前にガゼッタ・デッロ・スポルトをチェックする選手たち photo:RCS Sportジロ・デ・イタリア2025第5ステージ コースプロフィール photo:RCS Sportイタリア本土に上陸した2日目も、ジロ・デ・イタリアはスプリントが予想されるフラットステージが用意された。チェーリエ・メッサーピカを出発した選手たちはイオニア海を目指し西へ進み、ターラント湾に沿ってから再び内陸のマテーラを目指す151km。勝負所は残り28km地点に頂上のある4級山岳からで、残り11kmにも登りが設定され、さらに残り3km地点には10%の勾配区間が登場する。ピュアスプリンターには厳しいと予想されたステージのため、もちろん優勝候補の筆頭はマリアローザを着用するマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)。前日の落車で左手首を骨折したチームメイト、ムニョスとセーアン・クラーウアナスン(デンマーク)を除く、180名がスタートを切る。するとスムーズにイタリア人3名による逃げ集団が形成された。「白い町」チェーリエ・メッサーピカをスタート photo:RCS Sportロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター)ら3名による逃げグループ photo:RCS Sport第5ステージで逃げた3名ジョスエ・エピス(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ)ロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター)ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)2023年に逃げ切り勝利を飾ったバイスと共に逃げたのは、同年のU23タイムトライアル世界王者であるミレージと、プロ1年目でこれがグランツールデビュー戦であるエピス。すぐさま3分弱のタイム差を稼いだ逃げグループに対し、メイン集団はジャコポ・モスカ(イタリア、リドル・トレック)が先導し、その後ろにレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが隊列を組む。最初の中間スプリントはエピスが先頭通過し、プロトンではピーダスンが抜かり無く最大3ポイントを収めた。コースの中間地点に設定された2つ目の中間スプリントも、切れ味の良い踏み込みからエピスがトップを獲る。後続では再びピーダスンがイェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)を退け、ここもしっかりと3ポイントを取っていく。そのプロトンではコンディションの復帰を待つワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が牽引する時間もあった。逃げをプロトンが追う典型的なスプリントステージらしい展開でレースが進むなか、残り53kmの直線路でVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネの2名(マーリ&ピナレロ)が落車する。しかし両者に大きな怪我はなく、すぐに集団へと復帰。残り50.6km地点に設定された、ボーナスタイムが与えられるレッドブルKMでもエピスが先頭通過した。プロトンはこの日もリドル・トレックがペースを作る photo:RCS Sportプロトンで言葉を交わすファンアールトとピドコック photo:CorVosそのエピスはプロトンへと戻っていき、逃げはミレージとバイスの2名になる。そして4級山岳に入るとリドル・トレックが牽引するプロトンからは、ピーダスンの繰り下げでマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が脱落。さらに前日勝者のカスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)らピュアスプリンターたちが遅れ、UAEチームエミレーツXRGを先頭にプロトンが4級山岳の頂上を通過する頃に、逃げとの差は1分まで縮まった。残り13km地点で逃げが吸収され、断続的な登りにイネオス・グレナディアーズなど総合系チームも集団前方に人数を固める。ここまで粘ったファンアールトは残り4km地点で集団を離れるなか、残り3km地点からの10%勾配区間でプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が仕掛ける。しかし後続を引き離すほどのスピードはなく、ここはマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)がチェックした。登り区間を集団内でクリアするマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sportそのまま白いマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を纏うヴァチェクはアタックを抑制するハイペースで踏み続け、集団の中ほどではマリアローザのピーダスンが頭を揺らしながら食らいつく。そして急坂を越えた約60名ほどの集団が最終ストレートに突入。これまでリドルが勝利を掴んだ2度のスプリントと同様に、ヴァチェクのリードアウトからピーダスンが加速した。ピーダスンの背後にはトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)がつき、そのさらに後ろでオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)がもがく。左側からはエドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が迫り、同時にハンドルをフィニッシュに投げたピーダスンが、僅差の争いを制した。ハンドル投げの僅差でザンバニーニを退けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVosチッコーネと勝利を喜ぶマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVosジロ開幕から5日間で3勝目と、高いチーム力に支えられ驚異的な勝率を誇っているピーダスン。「フィニッシュの瞬間、自分が勝ったかどうかは分からなかった。ラスト20kmはとても辛く、急勾配区間から厳しい戦いとなった。そこで力を使ったが、幸運にもヴァチェクの背後につくことができ、スプリントを制した。チーム一丸となり、マリアローザを着て掴んだ勝利は信じられないほど嬉しいよ」と、息を切らしながらもピーダスンは勝者インタビューにそう答えた。母国イタリアでのプロ初勝利を逃したザンバニーニが2位で、ピドコックは3位。ここまで2度の3位に入っているアウラールは4位だった。151kmと比較的短かったレースの翌日に待ち受けるのは、今大会最長距離である227kmの平坦ステージ。序盤と中盤に3級山岳を越えるものの、ピュアスプリンターも展開次第では残れそう。そのためリドルがどんな戦略を見せるのかが注目される。5戦3勝と驚異的なペースで勝利を重ねるマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sport
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 3:27:31 2位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 3位 トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) 4位 オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) 5位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) 6位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) 7位 カンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ) 8位 ブランドン・リベラ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) 9位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 10位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 15:11:52 2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:17 3位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +0:24 4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:31 5位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:32 6位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:35 7位 マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) +0:43 8位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:44 9位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) +0:46 10位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:50
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 139pts 2位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 52pts 3位 カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) 50pts
1位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) 29pts 2位 シルヴァン・モニケ(ベルギー、コフィディス) 20pts 3位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 12pts
1位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) 15:12:16 2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:08 3位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:11
1位 リドル・トレック 45:36:56 2位 UAEチームエミレーツXRG +0:07 3位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +0:15
text:Sotaro.Arakawaphoto:CorVos, RCS Sport


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