ポルシェとベンツ、トランプ自動車関税で営業利益4分の1消滅の恐れ

トランプ米大統領が26日に発表した輸入自動車への25%関税発動で、ポルシェメルセデス・ベンツグループが計34億ユーロ(約5510億円)と、業界でも最も大きな打撃を受けることになりそうだ。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、4月3日から徴収を始めるこの関税で、ポルシェとベンツが2026年に予測した営業収益の約4分の1が消滅する可能性がある。影響を相殺するため、自動車メーカーは価格を値上げするか、米国での生産をさらに増やす必要に迫られる可能性がある。

  関税の導入で、欧州自動車業界では、利益率の高い米国市場への輸出に依存したスタンスが覆る可能性がある。ポルシェのスポーツカー「911」やメルセデス・ベンツのセダン「Sクラス」など、利益率の高い内燃エンジン搭載モデルが多くあるドイツの自動車メーカーは、米国向けの自動車輸出台数が最も多いことから、最も大きなリスクに直面している。

  ポルシェの株価は27日のフランクフルト株式市場ではポルシェが5.7%、メルセデスが5.2%、BMWが4.9%、それぞれ一時下落した。アウディやランボルギーニを傘下に持つフォルクスワーゲン(VW)は4.3%下落し、英アストンマーティンはロンドンで8.9%急落した。

  ドイツ自動車工業会(VDA)は、トランプ氏の今回の措置が「自由でルールに基づいた貿易にとって致命的な兆候」であるとして、欧州連合(EU)に米政府との交渉を促した。ドイツの大手自動車メーカーだけでなく、ロバート・ボッシュやコンチネンタルなど部品メーカーも影響を受ける恐れがある。

  ほとんどの独自動車メーカーは米国に工場を構え、米国内外向けに自動車を生産している。EUが対応を検討している中、貿易戦争がさらにエスカレートすれば、すでにコスト上昇と需要低迷に苦しむ業界に、さらなる打撃を与えることになる。

  中国での販売減少に苦しむポルシェは、最も大きな打撃を受ける可能性がある。高級車メーカーであるポルシェは、過去15年間、米国で着実に成長を遂げ、ついには中国を抜いて世界最大の市場となった。しかし、ポルシェは米国に工場を持たないため、米国のディーラーは輸入に完全に依存している。

  VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は「関税は企業と、複雑に絡み合ったグローバルな供給網を持つ業界に大きな負担を強いる」と述べ、米国の措置が「特に北米の消費者にとって、負の影響をもたらす」と強調した。

原題:Porsche, Mercedes Face $3.7 Billion Hit From Trump Tariffs (1)(抜粋)

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