遺体を腐らせる「怪しいクスリ」を購入、証拠隠ぺいの疑いもあったが…《17歳少女失踪トラブル》実の娘に“変態”と呼ばれた父親の「驚きのその後」(海外の事件・2001年)(文春オンライン)
2008年12月、警察はマイケルを逮捕する。 容疑はアリッサ失踪に関することではなく、自宅に手製の爆発物、届けのない拳銃やライフルを所持していたことに加え、以前勤務していた電気会社を爆破する計画を立てていたことを裏づける文書が見つかったことだった。マイケルは裁判で懲役10年の判決を受け、2017年8月に釈放となるが、この間、サラは姉の情報を広く求めていた。 実は2008年に父が逮捕された際、警察から、アリッサがマイケルから長年にわたり性的暴行を受けたうえ殺害された可能性があることを警察から聞かされていた。 これに驚愕した彼女は自らポッドキャストを立ち上げアリッサについて知る全てのことを話す他、様々なSNSで発信。中でも大きな反響を得たのが、失踪前にアリッサが父と公園に出かけた際、彼女が「お父さんは変態だ」と口にする様子を捉えたビデオカメラの映像をアップしたティックトックだった。動画は何百万回と視聴され、世間の疑惑はマイケル1人に集中する。
こうした状況を踏まえ、警察はマイケルを2020年8月にアリッサに対する第二級殺人罪で再逮捕・起訴した。裁判で検察側は前述の疑惑に加え、失踪の少し前、マイケルが大量の水酸化ナトリウムを購入していた事実を公表。この薬品は遺体の腐敗を加速させることが可能で、検察はマイケルがアリッサを殺害後、水酸化ナトリウムを使ったうえで遺体を遺棄したものと主張した。 対し、被告のマイケルは購入を認めつつも、使用目的に関しては明確な供述を回避する。他にも、検察はマイケルが所持していた2台のトラックを失踪後にどちらも売却していたのは、娘の遺体をトラックで運び、その証拠を隠ぺいする目的があったと主張。 これについてもマイケルは売却の事実を認めたものの、目的を明言することはなかった。 審理は新型コロナウイルス感染症の影響もあり遅々して進まなかったが、2023年7月18日、ようやく判決が出る。 下されたのは無罪。裁判長は、マイケル(当時75歳)に対する証言や疑惑は全て状況的なもので、明確な物的な証拠は何一つないとして起訴内容を全て棄却した。その後、検察は控訴を断念。事件は未解決のまま葬られた。
鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載)