最新の加熱式たばこ「Ploom aura(プルーム・オーラ)」を買ったらスマホ連動になっていた / 生粋の喫煙者「たかがたばこにスマホって……」

久しぶりに加熱式たばこについてお伝えしたいと思う。久しぶりになったのはいうまでもなく、すでに喫煙自体がマイノリティになっているからだ。

以前、当編集部ではほぼ全員がたばこを吸っていたはずなのだが、3人が完全喫煙に成功し、非喫煙者は6人。喫煙者が4人で過半数を下回っている。うち3人が加熱式で紙巻きに至っては1人のみ。もはや絶滅危惧種である。

そんな状況であえて、加熱式たばこの記事を書こうと思ったのは、喫煙者の私(佐藤)でも「もう面倒くさい」と感じ始めているからだ。最新のデバイスはアプリ連動で、スマホなくしてその本領を発揮できなくなっている。

あえて言おう、「たかがたばこにスマホはいらんやろ!」と。

・強くな売り文句

JT(日本たばこ産業)は2025年5月27日、新型デバイス「Ploom aura(オーラ)」とたばこスティック「EVO(エボ)」を発表すると共に、発売を開始した。

現在、全国の「Ploom Shop」と「CLUB JTオンラインショップ」などで販売が開始しており、コンビニやたばこ販売店などでは、7月1日から取り扱いが始まるという。私はオンラインショップで購入した。価格は税込2980円である。

私は現在、同じくPloomの「X ADVANCED(エックス・アドバンスド)」を使用しており、とくに不具合等もなく、快適に使えているので新製品を買う予定ではなかった。

が! これまでのJTでは考えられないような強気な売り文句を掲げており、気になったので試しに1台購入することにしたのだ。その売り文句は……。

「すべての加熱式を、過去に変える。」

加熱式たばこの市場においてJTは、フィリップモリスの「iQOS(アイコス)」の先攻を許し、この10年間、常に後を追う形での戦略が続いていた。ブランド力を強調した高価格路線をとるアイコスに対して、JTのプルームは低価格を維持して少しずつ裾野を広げて、着実にユーザー層の拡大に努めてきたのである。

そのJTがここに来てこの売り文句。控え目だった戦略に終わりを告げて、ドン! と1歩前に踏み込んできている。こりゃ、何か勝算があってのことだろう。新デバイスに相当自信があるに違いない。そう読んでオンラインショップで購入した。

・4つのモード切り替え

すべての加熱式を過去にするのは、きっとこの仕組みではなかろうか。切り替えのできる喫煙モード「HEAT SELECT SYSTEM(ヒートセレクトシステム)」だ。

バランスと取れた「スタンダードモード」、吸いごたえを重視した「ストロングモード」、ゆったりと吸える「ロングモード」、そして充電を長持ちさせる「エコモード」だ。

それぞれ使用時間と使用可能本数が異なっており、利用シーンに応じて使い分けることができる。これはたしかに新しい。これまでのデバイスにはない画期的な機能である。

・専用アプリでスマホ連動……

実際に製品は細長いスティックタイプ。

人間工学に基づいた手になじむデザインを採用しており、持ってみると手の中での落ち着きは良い。エックス・アドバンスドは角のないツルっとしたデザインで、手になじむけど落としやすかった。一方、オーラは長さがあるので落としにくくなっている。

トップのスライドを開けてたばこスティックを挿入すると、電源が入る「自動加熱機能」を採用。この機能はオフにして手動で加熱を開始することもできる。

気になる加熱モードの切り替えを試してみよう。見せてもらおうか、オーラの性能とやらを。

ってことで、どこかにボタンでもあるのかな~? と本体をいじりまわしてみたけど、メインの隠しボタン(ライトの下にあるボタンエリア)以外に押せるところはどこにもない。

説明書を確認してみると……、これは!? もしかしてスマホで操作しろということか?

面倒くせ~~! 新デバイスに抱いた期待はみるみる萎んでいく。デバイスで完結する機能かと思ったら、スマホに専用アプリを入れて操作しないといけなかったのだ。

エックス・アドバンスドにも同様の機能はあったけど、いちいちスマホをいじるのが面倒で利用しなかったというのに……。しかも調べてみると、オーラで使えるアプリはアドバンスドでは使えない。なんでこんなことにしたんだよ。共有すればいいのに……。

さらにいうとアプリを利用するには、「CLUB JT」への会員登録が必要で、なおかつ「CLUB JT」にログインしないと使えない。

う~ん…………、喫煙者の私がいうのもなんだが、たかがたばこだぞ。リラックスのたばこを吸いたいのに、アプリ連動の手間でストレスを感じてどうするんだよ……。

面倒くせえ、面倒くせえとぶつぶつ言いながら、ログインしてアプリをインストールして起動。その上でBluetooth接続して、ようやくスマホとデバイスがつながった。さらにデバイスを登録する必要もある。私のスマホとデバイスは完全に紐づけられた状態になった。

それで、このアプリで何ができるかというと、先に挙げた4モードの切り替え

それから登録デバイスをロックして、加熱できなくすることもできるし、デバイスが見つからなかった時に、デバイスレーダーでその場所を示すこともできる。

あれば嬉しいけど、なくても困らない機能ではないだろうか。

それで吸い心地はというと、従来のモデルとそれほど変わらない。ストロングはたしかに吸い応えが増して満足度は高まるけど、ガツン! と来るほどではないので、まあ良くも悪くもほどほどといったところだろうか。

・息苦しい……

先にも述べた通りに、スマホとデバイスの連動機能はあってもなくてもユーザーにはそれほど影響はない。連動の口実として、モードの切り替えを搭載している程度で、それがなくてもユーザーは困らないのだ。多少は喫煙体験に良い影響はあるかもしれないが。

それよりもむしろ、これがあることで困ることがある。仮にデバイスを持って出るのを忘れた場合に、急きょコンビニなどで購入したら、またデバイスを登録して接続する手間がかかる。これまでにない余計なひと手間が増えるのだ。なんだか仕組みに縛られている気がしてならないのは、気のせいだろうか?

たばこ業界は斜陽産業である。先細りが目に見えていて、少しでもユーザーを囲い込んでおきたいのはわかる。だが、その仕組みがなんだか息苦しい……。それは決してたばこの吸い過ぎではなく……、とにかく! リラックスした気持ちで吸いたいのに、その仕組みがすでに息苦しく感じる

たかがたばこにスマホはなくても良いように思う。デバイスの進化は歓迎するけど、もっと気軽に、気楽に吸いたい。たばこってもっとシンプルなものでしたよね?

参考リンク:CLUB JT(サイトは20歳以上の喫煙者を対象にしています) 執筆:佐藤英典 Photo:Rocketnews24

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