イラン、「いじめをする国」を批判 トランプ氏が核交渉求める書簡を送った後
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イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が8日、「いじめ」をする国々を批判した。イランの核開発をめぐり、アメリカのドナルド・トランプ大統領が交渉を要求する書簡を送ったとされ、それを受けたものとみられる。
国連の監視団によると、イランは近年、核開発計画を急速に進めている。トランプ氏はこれまで、イランの核開発計画の進行を食い止めるため、同国とあらためて取引をしたいと発言している。
そうしたなか、トランプ氏は7日の米FOXビジネスのインタビューで、イランが核開発について協議に応じなければ軍事行動に出る可能性があると、書簡で警告したと述べた。
トランプ氏は「もし私たちが軍事行動に出れば、そちらにとって恐ろしいことになると、書簡で伝えた」と説明。
「イランには、軍事的か、それとも取引をするかの、二つの対処法がある」、「私は取引を望む。イランを傷つけたいわけではないからだ」と述べた。
これにハメネイ師は猛反発し、イランは、話し合いを主張しながら「いじめをする政府」とは交渉しないと述べた。
現地メディアによると、ハメネイ師はラマダン中の8日の政府関係者らとの会合で、この発言をした。
ハメネイ師はアメリカを名指しはしなかったが、「いじめをする一部の政府が交渉を主張している」、「それら政府の交渉は問題解決が目的ではなく、圧倒的支配を目的としている」と話したという。
また、「この問題は核問題だけではない。向こうは新しい期待を示しているが、イラン側がそれに応じるなどあり得ない」と述べたという。
国連の国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は昨年12月、イランが高濃縮ウランの大幅な増産に踏み切ったことは「とても心配だ」と発言。核兵器に必要なレベルに近い濃縮度60%のウランの備蓄を、イランが増やしていると述べた。
イランは核兵器を製造しているとの非難は当たらないとし、核計画は平和的な目的だと強調している。
イランは2015年、制裁緩和と引き換えに、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツと核合意を締結。核計画の制限に合意した。
しかし、トランプ氏は大統領1期目にこの合意から離脱。イランへの制裁を復活させた。
それ以降、イランは核開発とウラン濃縮を加速させた。アナリストらは、イランが現在、兵器級に近いウランを保有しているとみている。
この1年の中東での紛争も、核をめぐる緊張を高めている。
イスラエルとイランは昨年、パレスチナ・ガザ地区とレバノンでの戦争に絡んで、互いを攻撃。それを受けてトランプ氏は、イスラエルに対し、イランの核施設に対する攻撃を認めると述べた。イスラエルは攻撃を実施し、イランの核施設を守る防空システムが損傷した。
一方、イラン政府は、欧米の制裁で経済的に苦しんでいる。同国ではここ数年、社会的・経済的不満を背景に、全国的な抗議デモが起きている。
イランは10日、チャーバハール港で、ロシアと中国の両国と合同で、毎年恒例の海軍演習を実施する予定。