残りあと50億年?「地球滅亡」に関する新たなシナリオ

Image: NASA

科学者たちによる予測精度の高いものから、インターネットで拡散される根拠なき“予言”まで、さまざま囁かれる地球滅亡説ですが、今回発表された新たなシナリオは非常に有力なようです。

地球、太陽系の外に放り出される説

最も有力な地球滅亡説のひとつは、太陽進化によるとされています。

太陽は約50億年後、その一生の後半に差しかかったとき、燃料である水素を使い果たし赤色巨星へと進化します。その過程で外層が大きく膨張し、水星、金星、地球を飲み込むと予想されています。

しかし、地球が滅亡する可能性はそれだけではありません。学術誌『Icarus』に掲載された新たなシナリオでは、太陽系に接近する恒星が惑星の軌道に影響を与え、惑星同士の衝突を引き起こしたり、その衝突によって地球が太陽系から放り出される可能性があることを示唆しています。

鍵を握る水星と恒星の接近

太陽系の進化をモデル化しようとする際、これまで天文学者たちは太陽とその周囲を回る惑星を孤立した系として扱うことがほとんどでしたが、実際天の川銀河は恒星で満ちており、互いに影響を与えあっています。

ほとんどの場合、通過する恒星は大した影響を与えませんが、あるひとつの惑星がその混乱を引き起こすと考えられています。それは太陽に最も近い惑星である水星です。水星の軌道は不安定になりやすく、軌道離心率(楕円の度合い)が大きくなることがあります。

天文学者たちによると、この離心率の増加が水星の軌道を不安定化させ、最終的には金星や太陽と衝突する可能性があるそう。そこにまた別の恒星が接近すれば、状況はさらに悪化します。

2,000通りのシミュレーションが示す太陽系の未来

研究者たちは、NASAが開発した太陽系内の天体の正確な位置を追跡するツール「Horizons System」を使って2,000通りのシミュレーションを行ないました。シミュレーションでは、恒星が太陽系に接近するシナリオを組み込み、今後50億年の間に起こりうる影響を調べています。

その結果、恒星の通過があると、太陽系の安定性が約50%低下することがわかりました。恒星の通過によって、冥王星は3.9%の確率で太陽系から放り出される可能性があり、水星と火星は恒星接近後に最も頻繁に失われる惑星でした。地球の不安定化率は低いですが、他の惑星が地球に衝突した場合には軌道が不安定になる確率が高くなります。この研究が示す、地球の軌道が不安定になる確率は、これまでの推定よりも数百倍高いものです。

研究者たちは論文の中で、

恒星によって引き起こされる不安定性は、太陽系内部の力学による不安定性よりも激しいことがわかりました。恒星による不安定性では複数の惑星が失われることが一般的であり、これは約50%の頻度で発生します。一方、内部要因による不安定性で複数の惑星が失われるのは非常にレアなことです。

と述べています。うーむ、またしてもこの地球に不安なニュースが増えてしまいましたね。

関連記事: