ジャンク債への不安が再燃、潜在的問題を警戒-投資家は高リスク敬遠
ジャンク(投機的格付け)債の投資家がリスクに一層神経質になっている。
米国のCCC格付け債指数は、6日までの1カ月で約0.8%下落し、より広範なハイイールド市場を下回るパフォーマンスとなった。リスクの高い社債を投資家が敬遠する傾向が強まっている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の集計データによれば、融資先が経営難に陥り、ディストレスト状態にあるドル建てレバレッジドローンの額は10月末時点で718億ドルに急増した。トランプ米大統領による貿易相手国・地域への上乗せ関税公表(今年4月)後では最も大きい。
米国の投資適格債とジャンク債との利回り格差(スプレッド)は過去1週間で拡大し、投資家が高利回り債より比較的安全な債券を好む様子がうかがえる。
パインブリッジ・インベストメンツのクレジット債券グローバル責任者スティーブン・オー氏は「今は潜在的問題の最初のわずかな兆候に対しても警戒レベルが高まっている」と分析した。
とはいえ、ジャンク債のスプレッドは2025年の平均をなお下回っている。潜在的問題の兆しが表れる状況でも、ハイイールド債のスプレッドは今年の多くの期間を通じて耐性を示した。
「信用スプレッドはやや不自然に低い」と述べたJPモルガン・チェースの ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)の警告も顧みず、7月にはCCC格付け債に投資家が一斉に資金を投じた。
9月には経営難に陥っていた米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループが、不正疑惑の渦中で、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請。これに先立ち、サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスも与信枠の担保の二重設定を巡る疑惑が浮上する中で、連邦破産法に基づく清算手続きの申請に追い込まれた。
それにもかかわらず、ハイイールド債のリスクプレミアムは今年最もタイトな水準近くに縮小した。
しかし、最近のジャンク債の弱さは、特にリスクの最も高い証券について、相場上昇がいつまでも続かない状況をうかがわせる。ブルームバーグの集計データによると、10月31日から11月6日にかけ、CCC格付け債のスプレッドは27ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後拡大した。これはハイイールド債全体の平均(13bp)を大きく上回る。BBB格付け債とBB格付け債との利回り格差もこの間11bp広がった。
必ずしも全てのCCC格付け債ではなく、最近CCCに格下げされた銘柄を投資家は避けていると一部の市場ウオッチャーはみている。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、マイク・シューラー氏は、投資適格債の国債に対する上乗せ利回りが歴史的にタイトな水準近く(6日終値ベースで81 bp)で引き続き推移しているのに対し、ハイイールド債はそうではなく、そうした傾向を注視すべきだと指摘した。サブプライムの貸し手や低所得層向け小売業など消費者関連セクターで弱さが目立つという。
原題:Fear Is Coming Back to the Junk Bond Market: Credit Weekly(抜粋)