米控訴裁、ニュージャージー州の連邦検事任命を「違法」と判断 トランプ氏の元弁護士
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アメリカの連邦控訴裁判所は1日、ドナルド・トランプ大統領の元個人弁護士アリーナ・ハバ氏(41)について、ニュージャージー州で連邦検察のトップを違法に務めているとの判断を示した。
トランプ氏は今年、ハバ氏を同州の連邦検事に指名した。しかし、連邦地裁がこの指名を認めなかったことから、トランプ政権は同氏を、連邦検事を代行できる役割に就かせた。
控訴裁は、上院の承認を回避して連邦検事を決めたこの戦術は、連邦空席改革法に違反すると判断した。
トランプ氏が任命した検事が不適任とされたのは、ここ数週間でハバ氏が2人目。
この日の判断で、控訴裁判事のマイケル・フィッシャー氏は、「現政権が、任命を認めさせるうえでの法的・政治的な障害にいら立っているのは明らかだ」とした。
BBCはハバ氏の事務所、ホワイトハウス、司法省にコメントを求めている。
ハバ氏が連邦検事を務めていることに異議を唱えていた弁護士3人は共同声明で、この日の判断について、「控訴裁が初めて、トランプ大統領は長年の法的・憲法的プロセスを侵害し、好きな人を誰でもこれらの役職に就かせることはできないと裁定した」とした。
また、「私たちは、トランプ大統領による連邦検事とされる違法な人事に、どこであろうと適切であれば異議を唱え続ける」と付け加えた。
ハバ氏は、ニュージャージー州ベッドミンスターにあるトランプ氏のゴルフクラブで同氏と知り合い、2021年に同氏の個人弁護団に加わったとされる。
トランプ氏は、ハバ氏をニュージャージー州の連邦検事に就任させる前、同氏を第2次政権で大統領顧問に任命すると発表していた。ハバ氏については、「揺るぎない忠誠心」をもち、「正義のたゆまぬ擁護者」だと評していた。
今回の裁定により司法省には、ニュージャージー州で連邦刑事事件を監督する、新たな検事を見つける必要が生じるかもしれない。
BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、今回の控訴裁の判断は、ニュージャージー州で刑事事件で起訴された3人が、ハバ氏の連邦検事への任命は違法だ主張したことが背景にある。
連邦地裁は8月、この主張を認める判断を示した。ただ、任命を違法としたことは、控訴裁が審理する間は保留とされた。
トランプが任命した連邦検事で法的な問題に直面しているのは、ハバ氏だけではない。
10月にも別の連邦地裁が、カリフォルニア州南部地区の連邦検事代理を法律で認められている以上に長く務めたとして、ビル・エセイリ氏をその職に不適格だと判断。ただし、エセイリ氏が筆頭連邦検事補として、連邦司法区としては全国で最も多い人口約1900万人を抱えるカリフォルニア州南部地区で監督業務を続けることを認めた。
エセイリ氏の完全排除を求める弁護団は、地裁の決定の当該部分について変更を申し立てている。
9月には、別の連邦地裁で、ネヴァダ州の主席連邦検事シガル・チャッタ氏が、連邦検事代理を合法的に務めていないと判断され、その資格がないとされた。