NY市場サマリー(27日)株続伸しS&P500最高値 ドル伸び悩み 2年債利回り4カ月ぶり低水準
<為替> ドルは終盤、対ユーロと対円で上昇を維持したものの、取引序盤の上昇分のほとんどを吐き出した。連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念が残る中、政策を見極める判断材料として今後の経済指標に注目が集まっている。
取引終盤で、主要通貨に対するドル指数は0.02%高の98.227。
ストーンエックスのシニア・テクニカル・ストラテジスト、マイケル・ボウトロス氏は「きょうのエヌビディアの決算と29日の個人消費支出(PCE)コア指数の発表を控える中、市場はおおむね様子見の姿勢にある」と指摘。「これらが発表されるまで、月末月初にかけて新たな大きなエクスポージャーを取ろうとする可能性は低いだろう」と述べた。
FXストリートのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビィザーニ氏は「市場はクック氏とFRBが繰り広げるドラマよりも、むしろトランプ大統領の利下げを望んでいるとの発言を懸念している」と述べた。
ドル/円はほぼ横ばいの147.445円となった。
ユーロは0.09%安の1.1631ドル。一時、8月6日以来の安値を付けた。
英ポンド<GBP=D3>は0.12%高の1.3496ドル。
CMEのフェドウオッチによると、短期金融市場は9月のFOMCでFRBが25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する確率は87.2%との見方を織り込む。
NY外為市場:
<債券> 2年債利回りが約4カ月ぶりの低水準を付け、長短利回り格差が拡大した。トランプ大統領がハト派的な連邦準備理事会(FRB)の人事を目指すと見られる中、次回9月に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が高まっている。
2年債利回りは約5ベーシスポイント(bp)低下の3.625%。
指標となる10年国債利回りは4.236%と、8月14日以来の低水準となった。
市場はトランプ大統領がFRBにハト派的な人物を指名できれば、FRBの政策が緩和方向に傾く可能性があると予想。パウエルFRB議長が先週、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でハト派的発言を行ったことも、次回FOMCでの利下げ観測を高めている。
ジェフリーズの米国チーフエコノミスト、トーマス・シモンズ氏は「近い将来において利下げが行われる確信は高まっているが、それが今後数カ月以降、どの程度続くかについては意見が分かれている」と指摘。「今起こっていることや、トランプ大統領がFRBに様々な人物を送り込むために発揮する権力が、全体的な意見を左右するのに十分かどうかはまだ不透明だ」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む9月のFOMCでの利下げ確率は84%。年内の利下げ幅は計55ベーシスポイント(bp)、2026年末までに141bpになるとみている。
2年債と10年債の利回り格差は61.3bp。一時、63.5bpと4月22日以来の大きさまで拡大した。
30年債利回りは4.915%。取引序盤で一時、8月1日以来の高水準となる4.96%を付けた。
5年債と30年債の利回り格差は121.8bpと、2021年8月以来の高水準となった。
供給面では、財務省がこの日実施した700億ドルの5年債入札は平均的な需要を確認。最高落札利回りは3.724%で、入札前取引の水準を1bp弱上回った。応札倍率は2.36倍だった。
28日には440億ドルの7年債入札が実施される。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場は半導体大手エヌビディアによる引け後の決算発表を前に続伸し、S&P総合500種が過去最高値を更新した。
アージェント・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ジェド・エラーブローク氏は「エヌビディアは既に巨大な収益基盤の上に、今後9カ月で莫大な収益増加を生み出すだろう」と指摘。「投資家は同社がS&P500の2桁の割合を占める世界に備える必要がある」と述べた。
投資家はトランプ米大統領によるクック米連邦準備理事会(FRB)理事解任の試みを巡る動きも注視している。
米取引所の合算出来高は140億株。直近20営業日の平均は169億株。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場 は、米金利とドル指数の低下を眺めて徐々に買いが優勢となり、続伸した。
中心限月12 月物の清算値(終値に相当)は、前日比15.60ドル(0.45%)高の1オンス=3448.60ドル。
ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は27日朝、米CNBCテレビのインタ ビューで、「経済は失速していない」と発言。市場が織り込む9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ再開について「データを見極める必要がある」と述べ、早急な政策判断に慎重な姿勢を示した。これを受け、米長期金利とドル指数が一時上昇。利回りを生まず、ドル建てで取引される商品の逆風となり、午前の金相場はおおむねマイナス圏で 推移した。
しかし、トランプ米大統領が解任を通告した連邦準備制度理事会(FRB)のクック理 事が、早ければこの日にも職務継続の確認を求めて提訴する方針と伝わる中、先行き不透 明感から安全資産の金を売る動きは限定的。金利が低下に転じ、ドルが対主要通貨で軟化すると、金相場はプラス圏に切り返した。
市場はまた、足元の景気動向を占う上で、週末にかけて発表される4─6月期の米GDP(国内総生産)改定値や7月の個人消費支出(PCE)物価指数に注目。高関税政策の 影響で消費鈍化や物価上昇の傾向が鮮明となれば、金融緩和の時期やペースが見通しにくくなる可能性もある。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米原油在庫の減少を好感した買いが入り、反発した。
米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.90ドル(1.42%)高の1バレル =64.15ドル。11月物は0.79ドル高の63.59ドル。
米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した週報によると、22日までの週に原油在 庫は前週比240万バレル減と、市場予想(190万バレル減)を上回る取り崩しとなった。これを受けて、需給引き締まり観測が高まったことから、相場は一時64.20ドル 付近まで上昇する場面もあった。
米国は27日、ロシア産原油を大量に購入しているインドに対し、25%の追加関税を発動した。今月導入したインドへの25%の相互関税に上乗せされ、同国からの輸入品に対する関税率は計50%となる。米国によるインドへの追加関税措置を背景に、世界のエネルギー供給の流れに影響が生じるのではないか、との警戒感がくすぶり、原油が買われたとの見方もあった。
ウクライナ当局は27日、ロシアが夜間にウクライナの6州にあるエネルギーやガス輸送施設を標的とした大規模なドローン攻撃を実施したと発表。ウクライナもロシアの製油所や石油輸出施設に対するドローン攻撃を強化しており、ウクライナ和平交渉の進展に不透明感が広がっている。
NYMEXエネルギー:
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