ノートPCのディスプレイを2つ、3つと魔法のように増やせる携帯式モジュールを見てきた

 ここ1年ほど、レノボ(Lenovo)は誰もが振り返るような革新的コンセプトのノートPCを続々と披露してきた。CES 2025で話題をさらった“ロール式”ノートから、スマホで軽く叩いてファイル共有できるAura Editionまで、Lenovoは大胆なアイデアを形にして、市場でイノベーターとして存在感を高めている。

 そして今回のMWC(Mobile World Congress)でも、ソーラーパネル付きのノートPCや折りたたみ式ディスプレイ搭載のノートPCなど興味深いコンセプトを発表した。中でも特に目を引いたのが、持ち運びできる「デュアルディスプレイアクセサリー」を使ってノートPCを3画面化するという、これまでで最も野心的ともいえる発想だ。

Kyle Kucharski/ZDNET ※クリックすると拡大画像が見られます

モバイルディスプレイの一覧(Amazonで価格をチェック)

 この新しいディスプレイアクセサリーは、複数のThinkBookシリーズが搭載するLenovo独自端子「Magic Bay」を利用し、メインディスプレイの両脇に13.3インチの追加ディスプレイを取り付ける仕組みだ。MWCに先がけて「ThinkBook 16p Gen 6」で実際に触ってみたが、最初は「本当にうまくいくのか?」と疑っていたものの、そのコンセプトには驚かされた。

 Magic Bayを知らない人向けに説明すると、本体上部のポートで、いろいろな周辺機器を付け替えられる。たとえばWebカメラが最も分かりやすいが、ウェブ会議用の照明やLTE通信用のアクセサリーなどもある。

 そして「Magic Bay Dual Display」を同ポートに装着すると、ノートPCの画面が3つに広がり、迫力あるワークステーションに変身する。トリプルディスプレイという没入感のある映像環境は、コンテンツクリエイターはもちろん、一般的な仕事でも十分役に立ちそうだ。

Kyle Kucharski/ZDNET ※クリックすると拡大画像が見られます

 追加のディスプレイは13.3インチと大きめで、外部モニターなしでも作業空間を広く確保できる。明るさはメインディスプレイと同じ500nitで見劣りもない。背面にはキックスタンドがあり、ディスプレイを3枚にしてもきちんと支えられるよう工夫されている。

 折りたたむとポータブルモニターのような形状になり、作り自体はそれほど華奢な印象ではなかった。ただし、フラップや折りたたみパーツが多く、きちんと収納するには少しコツが必要だ。

 Magic Bayのいいところは、ひとつのポートでいろいろなアクセサリーを使える点だ。もし3つのディスプレイがやりすぎに感じるなら、8インチのミニディスプレイという選択肢がある。同ディスプレイはLenovoによると「AIダッシュボード専用」として設計されていて、縦長のタブレットに近い外見だ。生産性ツールやメッセージングアプリ、AIの情報を手軽に表示するのに向く。仕事で使うなら、SlackやMicrosoft Teamsの専用ウィンドウにぴったりだろう。

Kyle Kucharski/ZDNET ※クリックすると拡大画像が見られます

 とはいえ、一番の不安要素は電力消費だ。ディスプレイ1枚でもバッテリーを消費するが、さらに2枚追加されたら電池消耗は激しくなるのは明白だ。省電力設定や明るさ調整である程度は抑えられるだろうが、どちらにしてもバッテリーの減りは相当早いはずだ。

 そのため、同アクセサリーはどちらかというと常に電源が確保できる据え置きのワークステーション的な使い方が前提になるだろう。ディスプレイを3枚も付けた状態で頻繁に持ち運ぶのは難しいし、机の上でも場所を取る。カフェの店内では、ディスプレイを3枚も広げられないだろう。

 Lenovoは同機構の価格や発売時期を公表していない。仮に実際に発売された場合でも安価になるとは考えにくいが、ノートPC本体との組み合わせでしっかり検証する予定なので、続報を楽しみにしていてほしい。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

モバイルディスプレイの一覧(Amazonで価格をチェック)

関連記事: